このところは気候変動の影響か、夏がとても暑いため、以前から好きでなかった夏の車中泊がますます億劫に感じられます。しかし、車で旅行をしているとやむを得ず暑い中で車中泊をせざるを得ないこともあります。そんな時でも、最後の手段であるアイドリングでのエアコン使用は極力避けたい。また、車を災害時のシェルターとして利用する場合は思うように燃料を使えない可能性もありますので、アイドリングをせずに暑さをしのげればそれに越したことはありません。
そこで、昨年の夏、思いの外暑かった北海道で様々な暑さ対策をテストした結果をこちらの記事にまとめました。
本年の夏は暑さ対策をバージョンアップし、再び北海道へ向かいました。
内容は下記のとおりです。昨年から変更した点を太字で表示しています。
目次
車内の温度測定方法
測定器具 温湿度データロガーRC-4、及びRC-4HC各1台 +RC-4HC1台
測定位置 RC-4HCでベッド上の気温、RC-4でベッド下の気温を測定 RC-4HCで屋外の温度を測定
暑さ対策
寝る前
- スライドドア用カーテンで、両側スライドドア全開
- 後部ハッチ全開(余市町では混雑のため後部ハッチは開けられず)
寝るとき
- 側面窓に網戸を取り付けて窓開放
- ゲートストッパーで後部ハッチ半開+網戸
- USB扇風機 一人1台(従来は全員で一台)
- それでも暑いときは冷やし枕を使用する
- それでも駄目ならエアコンを使う
就寝時の状況
- 人員 3名、いずれもベッド上で就寝 →大人二人はベッド上、子ども一人はエキストラベッド上に就寝
- 冷蔵庫がフロアで稼働しているため、冷蔵庫からの廃熱あり
測定データ
測定内容
今回は、フェリーターミナルへの移動時を含めて
本州で3回 北海道で13回 車中泊を行いました。
温度グラフの例を示します。
- 赤がベッド上の足元(車の最後尾)
- 青が車外(バンパーの上)
- オレンジ色がベッドの下(車の最後尾)
青のグラフが時折乱れていますが、これは温度ロガーの測定子をバンパーの右側に配置したため、排気ガスの熱の影響を受けたものと思われます。つまり、青のグラフがフラフラしているときは、車が走っていることになります。上のグラフですと、夜中の1時頃まで走っていたことになります。(そして、実際走っていました)
これを見つけたときは「失敗した!」と思ったのですが、よく考えたら走っているときの車外温度は必要ありません。逆にエンジンがかかっていない時間帯が明確になるのでこれでよかったかも。
測定結果一覧
このグラフから車外とベッド上の最高気温、最低気温を読み取り、寝苦しさの度合いと暑さ対策の使用状況を表にまとめました。
温度を記入したセルは、18℃以下を緑、22℃以上を赤で表示しました。
また、毎日の寝心地は、以下の三通りに分類しました。
- 快適: 不快な暑さを感じない。(寒くて布団をかぶっていた場合も暑くはないので快適に含めています)
- やや暑い: 何もしないと暑くて不快だが、扇風機などを使えば快適に眠れる。
- 暑い: 窓を開け、ハッチを開け、さらに扇風機を使ってもまだ暑くて眠れない。
わかったこと
昨年の記事では車外の温度は気象台のデータを使っていたのですが、今回は実測データを使用しました。その結果、車外の温度と寝苦しさの関連をより明確にすることができました。
上記の表に記載した、車内(ベッド上)、車外の最低、最高温度と寝苦しさの関係を下記のグラフにまとめてみました。上記表の項目を、上から下が左から右になるよう並べてあります。
車内温度と暑さの関係
今回は25℃前後のサンプル数が少ないため断定は難しいですが、大雑把に言えば
車内の気温が25℃を超えると やや暑い
車内の気温が28℃を超えると 暑い
となって寝苦しさがアップするものと思われます。
暑さ対策とその効果
一方、暑さ対策とその効果を見ると、次の表のようにまとめることができます。ざっくり申し上げると、扇風機、後部ハッチ開放、それぞれ体感温度を2℃程度下げる効果があると思われます。
この表に従えば、外気温の上昇に従って
側面窓開放→扇風機一人一台稼働→後部ハッチ開放 と行っていけば、外気温25℃までは快適に眠ることができます。
熱帯夜をいかに凌ぐか?
さて、問題はこれより暑くなったときです。
以前の記事でご紹介した、冷やし枕の効果を試してみることにしました。
加古川市の高速PA (表の1行目)
自宅で凍らせた冷やし枕をエンゲル冷蔵庫で冷凍して出発し、PAで就寝の際に家族3人で使用しましたが、小学生の娘も含めて家族三人ともエアコン無しで普通に就寝できました。このときの温度グラフを下記に示します。(実は冒頭のグラフと同じものですが)
後部ハッチを開けたおかげでベッド上の温度は外気温+2℃程度、28℃~32℃の範囲で推移しています。
なお、今回使用したのも以前のテストで使用したのと同じ銘柄です。30℃程度の中でも6時間以上冷たい状態を保っていましたので、その間に最低限の睡眠を取ることは可能でした。
名古屋市の公園の駐車場(表の2行目)
このときはわたしが一人で車中泊しています。ここはPAとは違って路面が土の上にすべりどめマットを敷いた状態だったせいもあってか、暑いなりにも多少は涼しい風が入ってきました。このときも冷やし枕は家庭用冷蔵庫で凍らせたものをエンゲル冷蔵庫で冷凍して運搬しました。冷やし枕を使用することで、エアコン無しで眠ることができました。
京都市の高速PA (表の17行目)
このときは、エンゲル冷蔵庫は北海道みやげを冷やすために使用していたので冷やし枕は準備できませんでした。夜の0時過ぎにPAに停まって眠ろうとしたのですが、冷やし枕なしでは暑くて家族三人誰も眠れず。やむなくアイドリングでエアコンをかけて眠りました。
残念ながらこのときの車外温度は排気ガスの排熱を拾ってしまい、正確に測定できていませんが、気象庁のデータでは夜間の最低気温が26.9℃、最高気温が28.4℃となっています。
わかったこと
加古川市のPAでは、車外最低気温27.0℃、最高気温31.0℃で、冷やし枕を使って就寝できた。
いっぽう、京都市のPAでは、車外最低気温26.9℃、最高気温28.4℃(こちらは気象庁のデータ)で、冷やし枕がなくて眠れず、冷房を使用して眠った。
つまり、冷房が必要なくらいの暑さでも、冷やし枕があれば(快適ではなくても)なんとか眠れる、ということです。
では、車内で冷やし枕を冷凍できるのか?
エンゲル冷蔵庫の能力なら常温の冷やし枕を冷凍することは可能です。
しかし、エンゲル冷蔵庫一台では食料の冷却と冷やし枕の冷凍の両立は難しい。
そこで、エンゲル冷蔵庫をもう一台購入し、充電能力もアップしました。
しかし、この時取り付けたDCDCコンバーターの発熱対策が間に合わず、現時点では車内で一から冷やし枕を冷凍して随時使う、というところまでは至っていません。
とはいえ、(快適さを除けば)コスト、消費電力、必要スペース、いずれをとってもエアコンに勝るので、次善の策としては十分検討に値すると考えます。
まとめ
下記の暑さ対策を行うことで、車外温度25℃まで快適に睡眠可能。
- 側面の窓開放
- 後部ハッチを半開
- USB扇風機を一人一台使用
車外温度が25℃を超えた場合、冷やし枕を使うことで外気温30℃程度まではなんとか眠ることが可能。
冷やし枕が間に合わない場合、コンビニで売っている氷なども効果があると思われるが、何時間持つのか不明。
以上、読んでくださりありがとうございます。
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