極寒車中泊で車内温度=外気温+5℃ の維持に必要なもの

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目次

概要

先般、下記の記事にて極寒の北海道における寝心地についてレポート致しました。

極寒でエンジンを回さず快適車中泊する6つのコツ

この中でもご説明しましたが、今回の北海道旅行では全行程の車内温度と外気温度を温湿度データロガーで測定、記録しました。

帰宅後にこのデータを抽出してチェックしたところ、面白いことが分かりました。

断熱のみでは車内の温度は外気温+2℃が関の山

これまでの記事では、ボディの断熱に加えて、下記のような対策を施して断熱の効果を検証してきました。

  1. 窓にスタイロフォーム製断熱パネルを取り付ける
  2. さらにその上に断熱性のあるウレタン製マットレスを敷く
  3. ベッド上面の全面側を銀マットで塞ぐ

人間の体温や電気毛布で気温を上げるのは難しい

下記のグラフは、自宅で行ったテストで、車内に電源を入れた電気毛布を二枚配置して気温を測定したものです。黄色のマーカーが車内温度と外気温度の差で、これが高いほど車外に比べて車内が暖かいことになります。しかし、電気毛布を発熱させたとしても翌朝の車内温度はせいぜい外気温+2~3℃程度でした。

ハイエース断熱化
これまでのテストでは、断熱の効果を明らかにできませんでした

翌朝の車内を暖かくしておくために必要なこと

極寒なのに朝まで車内が温かい不思議

前回の記事、でご紹介したとおり、1日目の占冠村での車中泊が一番気温が下がったのですが、この時の温度グラフは下記の通りです。

ピンクの部分がフェリーの中、その右の白い部分が移動中、一番右の黄色い部分が占冠村で停車中(エンジン停止)の状態を示します。

ハイエース断熱化
外が極寒であるため、走行中にヒーターで車内を暖めたら車内外の温度差が25℃になった

外が極寒で車内と外気の温度差が大きく、しかも外気温度がどんどん低下しているため、車内の温度もどんどん低下しています。しかし、黄色のマーカーで示された車内温度-外気温を見ると当初は+25℃程度あったものが6時間後の午前5時頃の暖気開始前でも+7℃程度と、前述のテスト結果と比べるとかなり大きくなっています

2日目も同様

次の日は占冠村から南富良野町へ移動しました。このときのグラフはこちらです。

ハイエース断熱化
2日目も、車内外の温度差は20℃弱まで上昇

2日目は、エンジンを切ったときは車内温度-外気温+18.6℃、それから6時間後には+6℃8時間後には+4.6℃とこちらもかなり大きめです。

つまり事前の加熱が必要ということ

これらからわかるのは、断熱をした上でヒーターで車内を十分暖かくしておけば翌朝までその熱が逃げずに車内に残り、暖かく過ごせる、ということです。(ま、考えてみれば当たり前の話なのですが…。)

逆に加熱がなければいくら断熱をしても車内温度=外気温になってしまいます。

車内温度-外気温はある程度予想可能

上陸1日目のグラフと2日目のグラフを重ねてみると、こうなります。

ハイエース断熱化
2つのグラフは綺麗に重なる

赤の矢印で示した部分が2つのグラフの重なる部分です。

両者のグラフの重なった部分の形はほぼ一致しており、外部の温度変化にかかわらず時間経過に対する車内外温度差の変化はほぼ同じ経緯をたどる、と言えそうです。

従って、そのときの外気温度にかかわらず、寝る前に車内を車外温度+25程度に温めておくと8時間後にもまだ車外温度+5くらいの温度を保っている、と言うことになります。ただ、この車外温度+5がどこまで暖かいのか、と問われるとそれは外気温次第、ということになりますが。

ハイエース断熱化
車内を車外より25℃暖かくすると、8時間経ってもなお、5℃暖かい

以前の測定は、この一部を切り取っていた

そして、最初にご覧いただいた、これまでの記事での温度変化のグラフは、この全体像の終わりの部分(下図の黄色の網掛け)のみを切り取っていた、ということのようです。

従って、ほぼ下がりきった平衡状態での温度差は、電気毛布1~2枚程度の加熱ではほとんど変わらない、ということになっていたのです。

ハイエース断熱化
これまでのテストは、黄色の部分を切り取っているだけだった

結論

  • 車両を断熱した上で、エンジンを切る前に車内温度を外気温+25℃まで上げておくと、翌朝も車内温度は外気温+5℃程度暖かい
  • 車内温度-外気温は、車外の温度変化に関係なくほぼ同じ経緯をたどって2~3℃程度の平衡状態に至る。

補足

わたしが行った断熱の仕様は下記の通りです。

  • 屋根 銀マット(結露防止用)貼り付け+グラスファイバー封入
  • 荷室側面 銀マット貼り付けのみ
  • 床面(床マットの下) 銀マットを敷き詰める

もう一つ影響が考えられるのは、暖まったエンジンからの放熱です。断熱エンジンからの熱の供給という2つの作用の効果により、このように長時間にわたって暖かい状態が保たれているのではないかと推測します。

エンジンの効果を除いたテストは今の状態ではやりようがないのでこの推測が正しいかどうかは確認できませんが…。

以上、読んでくださり、ありがとうございます。

この続きは、【凍死しないために】極寒車中泊でどこまで寒くなるかを計算する方法をご覧ください。

【寒さ対策】関連記事の一覧はこちらです。

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コメント

  1. 難波 より:

    本日記事を拝見させていただきました。
    素晴らしい考察です。
    車中泊で薄々感じていましたが、それをデータを元にしらべてまとめていらっしゃった事に感銘を受けました。
    軽自動車ですが、天井、床、ドア(前左右、後左右、後ろドア)の防振と断熱、遮熱処理はしてます。窓も車中泊時には20mm程度の厚さほシェードで断熱してます。
    それでも早朝にはプラス5℃程度まで下がるので効果に疑問を感じてましたがやはりそういう事なんですね。
    体周りの体温が下がらない様工夫します!

    1. jt1962 より:

      難波様
      コメントありがとうございます。
      ここしばらく記事の更新をサボっており、申し訳ありません。
      記事を参考にしてくださり、ありがとうございます。
      FFヒーター以外ですと、やはり電気毛布が最強ですね。最近はポータブル電源も安くなってきたので電気毛布も使いやすくなりました。
      顔周りが冷えてガビガビになるのはどうしようもありませんが…。

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