ハイエースにソーラー発電装置やオーディオを自力で取り付ける際、電気関係のことが分からずてこずりました。特に電線の種類や接続の方法などはさっぱりでしたが、色々と調べてやっと全体が分かってきました。自分の覚えも兼ねてまとめておきます。
知っている方にはほんの入門程度の話だと思いますが…。
なお、内容には不正確な部分もあろうかと思いますので、お気づきの方はご指摘いただければありがたいです。
また、本稿の不備が原因で何らかの損害が発生しても当方では責任を負いかねますのでご了承下さい。
目次
電力
P=IV
電力(ワット)=電流(アンペア)×電圧(ボルト)
使い方
電圧100ボルトで500ワットの電気製品を使うと、流れる電流は、500ワット/100ボルト=5アンペア
300ワットの電力を、12ボルトのバッテリーからインバーターに供給するときに流れる電流は、300ワット/12ボルト=25アンペア
電力量
W=Pt=IVt
電力量(ワットアワー)=電力(ワット)×時間(アワー)=電流(アンペア)×電圧(ボルト)×時間(アワー)
使い方
1000ワットのストーブを4時間使ったときの電力量は、1000ワット×4時間=4000ワットアワー=4キロワットアワー
ちなみに、電気料金の計算も、kWh=キロワットアワー あたりで行われる。
直流と交流
交流は、極性がプラスとマイナスに周期的に変化する電流。電線を流れているのは全て交流。家庭のコンセントも交流。
直流は、常にプラスとマイナスが変わらない電流。バッテリー、乾電池、リチウムイオン電池などで発生させることができる。また、直流でないと動かない電気製品は、ACアダプターをつかってコンセントから取った交流の電気を直流に変換して使う。
ソーラーシステムでは、ソーラーパネルで発生した電気は直流で、直流のままバッテリーに充電し、バッテリーに蓄えられた電気を直流で取り出して、インバーターを使って100Vの交流に変換すると家庭用の電気製品が使える。
電線について
電線の種類
よく見掛けるのは下記の三種。
VFF(ビニル平形コード)
主に家電の電源コードに使われる。コンセントの奥の配線には使わない。
VVF(ビニル絶縁ビニルシースケーブル)
住宅の屋内配線(コンセントの奥の配線)に使われる。
VVR(ビニル絶縁ビニルシースケーブル)
VVFが平形(flat)なのに対し、こちらは丸形(round)で、VVFよりも太いものも作られている。
電線の太さ
電線の、金属部分の断面積で表します。(金属部分だけの面積で、被覆は関係ありません。また、複数の電線が一本になっている場合は電線一本あたりの断面積です。)
規格表では、「公称断面積」と書かれています。
単位は㎟(平方ミリメートル)で、これをsq(square=スクエアの略)とも呼び、例えば金属部分の断面積が2㎟の電線の太さを、2sqと呼びます。
規格としてよく出てくるのは、
0.75sq
1.25sq
2sq
3.5sq
5.5sq
8sq
あたりです。
電線に流せる電流の上限
電線の太さと許容電流の目安は、おおよそ下記の表の通りです。正確な値は被覆の材質などによって変わってきますので、購入に当たっては電線の仕様をご確認下さい。
当たり前と言えば当たり前ですが、sqが大きくなって電線が太くなるほど流せる電流は多くなります。家庭用の電気器具は電圧が100Vなので流れる電流は電子レンジや電気ストーブでもせいぜい15Aですが、車載ソーラーシステムで12Vバッテリーからインバーターへ1000Wの電力を供給しようとすると
1000÷12=83.3 A(アンペア)
もの大電流が流れることになります。(インバーターのロスがあるので実際にはもっと大きくなります。)上の表から判断すると、最低でも14sqの太さの電線を使わなくてはなりません。
従って、ソーラーシステムでは、家庭では見掛けない太い電線を使うことになります。
圧着端子の種類
専用の工具を使ってかしめる(締め込んで変形させる)ことで取り付けることができる端子のことです。下記のような種類があります。
なお、掲載した図版は全てニチフ様の製品紹介ページから借用しています。
①裸圧着端子
写真右側の円筒部に電線を入れ、この円筒を潰して端子を電線に固定します。
②絶縁被覆付き圧着端子
①の軸部に絶縁被覆が施されたものです。
③裸圧着スリーブ
円筒をつぶして二本の電線を繋ぎます。電線を両側から入れて付き合わせるタイプ(左)と、電線を同じ側から重ねて入れるタイプ(右)があります。
④絶縁被覆付き圧着スリーブ
③の軸部に絶縁被覆が施されたものです。こちらも突き合わせ型と重ね合わせ型の二種類があります。
⑤オープンバレル端子
自動車の電装品に使われるギボシ端子と、オーディオ製品に使われるファストン端子があります。両者とも端子を電線に固定する部分は同じで、違いはF形とM形の締結方法です。
⑤-1 ギボシ端子
F型、M型の二種類があり、図の右側に電線を圧着し、M型の左側をF型の左側に差し込んで二本の電線を連結します。
⑤-2平形接続端子(ファストン端子)
こちらもF型、M型の二種類があり、図の右側に電線を圧着し、M型の左側をF型の左側に差し込んで電線を連結します。
圧着端子の型番表記法
①裸圧着端子
一番よく使われる丸形端子の場合、
電線のサイズ(sq)-取付穴径 のように表記されます。
例えば1.25-8 なら、電線を差し込む円筒部は1.25sqに対応したサイズ、取付穴の直径は8mm(正確には8mmより少し大きめ)、になっています。(なお、メーカーによっては頭にRが付き、R1.25-8となります。)
同じ電線の太さ(sq)に対して複数の穴径の端子が販売されています。
上記の丸形以外に、Y形、角形などもありますが、省略します。
②絶縁被覆付き圧着端子
メーカーによって様々な頭文字が付きますが、基本的には①と同様、
電線のサイズ(sq)-取付穴径 で表記されます。
③裸圧着スリーブ
メーカーによって頭文字は変わりますが、基本的には、
電線のサイズ(sq) で表記されます。
④絶縁被覆付き圧着スリーブ
③と同じです。
⑤オープンバレル端子
⑤-1 ギボシ端子
メーカーによって型番の付け方はまちまちです。型番を見ても対応する電線のサイズは分かりませんので、仕様書で対応するsqを確認します。F形とM形は、同じメーカーのものを使うようにします。
⑤-2平形接続端子(ファストン端子)
これも⑤-1と同様、端子の仕様を確認します。
圧着端子を圧着するための工具
端子の圧着には圧着工具を使うのですが、工具の選定に当たっては、どの圧着工具がどの圧着端子に対応しているのかを間違えないようにします。
写真上は、裸圧着端子と絶縁被覆付き圧着端子を兼用したもの、
写真下は、裸圧着端子とオープンバレル端子を兼用したものです。
わたしはよく分からずに写真上のものを購入したのですが、結局いまだに②と④の絶縁被覆付き端子を使う機会はなく、車の配線に多用されているギボシ端子(⑤-1)に対応した下の写真のものを買えば良かったと後悔しています。(工具を選ぶ時点では、ファストン端子とギボシ端子が同じ工具で圧着できることを知りませんでした。)
ちなみに、①~④に対応した部分に書かれた数字はsqの値で、圧着しようとする端子のサイズに合った位置を使います。
⑤-1と⑤-2は、今ひとつよく分かりません。下記のサイトでは被覆のカシメと金属線のカシメで2つの位置を使い分けており、工具の数字と電線のsqが必ずしも一致していないようです。
わたしはオープンバレル端子用の圧着工具を使ったことがなく、これについては受け売り以上のことは申し上げられません。
圧着の方法については、こちらのサイトに詳しく記載されています。
バッテリー端子の規格
バッテリー端子に配線を繋ぐため、ターミナルを探した際、Bタイプ用、Dタイプ用などがあるのですが違いがさっぱり分からず。散々調べた結果、下記のサイトに分かりやすい説明を発見しました。結局太いのがDタイプ、細いのがBタイプ、ということでした。
ブレーカー
バッテリーとインバーターの間にブレーカーを噛まそうと考えて品物を探したのですが、電流が大きくなると価格がとんでもないことに。
よく調べたら、価格が高いのは交流用で、直流用なら数千円でした。
わたしはこちらで買いました。
念のためトップページも書いておきます。
以上、読んでくださり、ありがとうございます。
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