寒さ対策

断熱されていない車の中で暖かく過ごすにはカーテンが最強

断熱パネルをカーテンに代えた理由

当初は 以前の記事 冬でも快適車中泊 ハイエース断熱化で車内温度はどうなる? でご紹介した断熱パネルを作り、側面、及びリアゲートの窓を断熱していました。しかし、取り付け取り外しが思いの外面倒なのと外したパネルの置き場所を車内に確保するのが大変なため、2018年の冬からは荷室の四方に配置したカーテンだけで過ごしてきました。

カーテンだけだと車中泊時の室内が冷え切ってしまうのではないかと危惧していましたが、断熱板と比べてさほど寒い思いをすることもなく現在に至っています。

カーテンが暖かいことをデータで裏付けたい

翌朝冷え切っているのは断熱板もカーテンもさほど変わりません。しかし、カーテンの方が暖かさが逃げにくく、現地に到着して暖房を切っても長時間快適に過ごせることが体感でわかってきたのでこれをデータで裏付けることにしました。

現在の断熱状況

車体

下記の通り、見よう見まねのDIY断熱なのでお世辞にも完璧とは言い難いです。

  • 天井 DIYで断熱材(グラスウール)を封入。
  • 側面 窓はそのまま、内張を自力で剥がせた場所には断熱材(銀マット)を貼付。
  • 床面 購入時、荷室床面に敷いてあったフロアマットの下に断熱材(銀マット)を貼付。

車内

①床面 ベッドキットの上に、以前の記事でご紹介したウレタンマットレスを敷いています。
②ベッド前がわ 以前の記事でご紹介した断熱カーテンを使用しています。
③ベッド後ろがわ こちらは外光を取り入れる必要はないので、カーテン 遮光1級幅100cm×丈120cm を使用しています。
④側面 本当はベッド前側に使用している断熱カーテンと同じ素材で丈の短いものが欲しかったのですが、見当たらなかったので ミラー カフェ カーテン 幅140cm X 丈70cm   を使っています。

車内の状況は下記の通りです。(散らかっていてすみません)

車内の断熱状況
車内の断熱状況
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家族で-10℃極寒北海道にて快適車中泊する6つのコツ

冬の北海道へ家族旅行

一昨年(2018年)、極寒の北海道でどうすれば快適に眠れるかをテストしました。

今回は冬の家族旅行で北海道へ出かけることにしました。(言い出したのは私ですが、娘も妻も納得の上での実行です。無理に連れ出したわけではありませんよ)
家族旅行で家族を辛い目に合わせるわけにはいかないので、昨年・一昨年の冬の北海道での経験を活かし、(可能な範囲で)準備万端で臨みました。

具体的には、下記の通りです。

  • 昨冬の白川郷で使用した極寒用寝袋を今回も持参
  • ハクキンカイロを人数分用意
  • 電気毛布を用意
  • 電気毛布が長時間使えるように充電能力をアップ(こちらの記事ご参照)
  • エンジンを掛けて車内を温める可能性に備え、燃料タンクの燃料が50リットルを下回らぬようこまめに給油

金のかからない対策ばかりですが、災害避難時の練習も兼ね、簡単にできる対策を積み重ねてなんとか暖を取ろうという目論見です。

前回との違い

前回の記事で実施した防寒対策と比べると、

という点が異なっています。運転の下手な私には車両の斜め後方の視野が遮られる断熱板は危険と判断して昨年から使用を中止、代わりに荷室の窓にはレースのカーテンを使っています。スタイロフォームと比べるとカーテンの断熱性は低いですが、窓が冷えることによる冷気の対流の影響を防いでくれるので、防寒能力はさほど遜色ないと感じています。

これは、カーテンを閉めた状態で後部ハッチ側から前方を見たところ。運転席と荷室の間も含め、カーテンでぐるりと囲んでいます。(なお、この写真は今回の旅行の前に撮影したものです)

車内のカーテンを閉めて冷気の流入を防ぐ
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【電子レンジ代わり】エンゲル温蔵機能付き冷蔵庫で弁当を温める

お断り
本記事は、筆者が独断でテストのうえ記載したものであり、エンゲル冷蔵庫を製造している澤藤電機は一切関係ありませんのでご承知おきください。

エンゲル冷蔵庫をもう一台買い足す

エアコン電子レンジは車中泊ファン憧れの装備ですが、いずれも大容量に対応したインバーターが必要でこれがエアコンや電子レンジより高かったりします。(1500Wインバーター:電菱SK1500-112は、現時点アマゾンで55,000円)

拙宅では冬場の車中泊が多いので、スーパーやコンビニの弁当、惣菜をレンジで温めることができれば非常に嬉しいのですがレンジ+インバーターで7~8万かかりそうです。(そして、狭い車内に電子レンジを置く場所がない)

そこで、夏の暑さ対策にもう一台追加しようと思っていたエンゲル冷蔵庫を温蔵機能付きの機種に変更し、電子レンジの代わりをさせてみることにしました。価格は8千円ほどアップします。

ENGEL エンゲル 冷凍冷蔵庫 + 温蔵 ポータブルSシリーズ DC電源 容量14L MHD14F-D

アマゾンHPより引用

この写真でも分かる通り、外見は温蔵機能なしのMD14F-Dと殆ど変わりません。

ほぼ唯一と思える違いは、冷蔵と温蔵を切り替えるスイッチが付いていることです。このスイッチをWARM側にすると、ダイヤルの位置に関係なく庫内が温められます。

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【寒さ対策】記事まとめ

【寒さ対策】の内容と関連を一覧にまとめました。

ハイエース断熱関連

ハイエースの居住性を高めるため、内張りを剥がして断熱材を入れ、窓用に断熱パネルを作ってその断熱性能をテストしてみました。

電気毛布による加熱の有無、断熱パネルによる断熱の有無の効果を見るため、それぞれの有り、無し4パターンについて温度変化を測定、比較しました。

これまでの対策に加えてベッド・マット上面に断熱マットを追加、ベッドと運転席の間にも屏風のように立てた断熱シートを追加して車内の温度変化を調べてみました。

2018年2月下旬から北海道へ出かけた際に測定した車内、車外の温度データを元に、車内を暖かく保つ方法を検討してみました。

ハイエースの冷却速度を定式化し、測定データと比較してみました。

個別の寒さ対策

極寒車中泊では電気毛布が有力な暖房手段となります。そこで、サブバッテリーの電力のみで電気毛布は何時間使えるのかをテストしてみました。

冬山用の保温水筒として有名なサーモス山専用ボトルの保温性能をテストしてみました。

引き続いて、サーモス山専用ボトルの極寒北海道を模したフリーザーでの保温性能をテストしてみました。

上記テスト結果をもとに、サーモス山専用ボトルに入れた湯の温度がどのように変化するかを定式化してみました。

周囲の気温と経過時間から、山専用ボトルに入れた湯の温度が何度に冷えるかを計算できます。

冬でも温かい弁当や総菜を食べることができる、温蔵機能付きエンゲル冷蔵庫MHD14F-D のレビューです。

各寒さ対策の効果と対応温度

2018年2月~3月の北海道車中泊で各寒さ対策の効果をテストした結果をまとめました。

2019年12月~2020年1月の年末年始にかけて家族で北海道車中泊を行い、車中泊慣れしていない妻と小学生の娘が快適に眠れるかどうかを確認しました。

その他

わたしが使っているカメラ、EOS Rをマイナス10℃以下に冷えた冬の信州で使ったときの挙動についてまとめました。

EOS R は極寒で使い物になるのか?

OVERVIEW: You’ll find EOS R’s behavior in very cold weather.

今まで一番寒かった撮影は?

以前、会社の正月休みに北海道に撮影に行ったときのこと。釧網本線を撮影してオホーツクの「道の駅はなやか浜小清水」で車中泊をし、翌朝オホーツク海沿いで撮影をしましたが、私の記憶ではこのときが一番寒かった。

釧網本線の撮影を終え、網走の洗車コーナー(昔ながらの、ノズルを手で持って洗車するやつです)で車を洗ったら、「お湯が出ます」にも関わらず車に付いた水滴が直後に凍ってしまい、ドアミラーが見えなくなったこともあり、寒かったという印象が強烈でした。

この時の日付は2003年12月30日から31日です。この間の気温を気象庁のデータで調べてみました。

12月31日朝の撮影では、当時使っていたEOS 10Dは液晶の表示が緩慢になり、携帯電話(ガラケーですが)の液晶も表示がおかしくなっていました。また、EOS 10D バッテリーの寿命は非常に短かった記憶があります。

下記の写真を撮影したのは午前7時頃ですが、そのときはマイナス10℃くらいだったことになります。

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【カップめんが作れるか?】山専用ボトルの熱湯が山頂で何℃になるか計算してみよう

Overview: You can calculate temperature of hot water inside of THERMOS FFX-900 insulated bottle with given elapsed time and outside temperature.

前回の記事でご紹介したサーモス山専用ボトルFFX-900の温度測定結果と近似式をもとに、入力した

ボトルに入れた時の水(湯)の温度 T0

ボトル周囲の気温 Ta

経過時間 t

に応じて、経過時間後の水筒に入れた水(湯)の温度T(t)を計算できるシートを作ってみました。

水の量が半分の場合の温度も表示されます。

なお、本記事の内容は、わたしが個人的に作成したものであり、サーモス社は無関係ですので、ご意見、お問い合わせなどは記事末尾のコメント欄へお願いいたします。

また、この計算結果はおおよその傾向を表すものであり、算出された個別の数値の正しさを保証するものではありませんのでご承知おきください。

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サーモス山専用ボトルに入れた熱湯の温度が計算できる公式を作る

Overview: Generate a equation which explains the relationship between the temperature of THERMOS bottle FFX-900 content, outside temperature, and elapsed time.

前回の記事に続き、今回は、サーモス山専用ボトルFFX-900に入れた熱湯が何時間後に何度に冷えているかを算出する公式を作ってみます。

以前の記事で、極寒に置かれたハイエースの温度がどのように変化するかを算出できる公式をご紹介したことがありました。

まず以前の記事と同様、指数関数的減衰の式で山専用ボトルの中身の冷却状況が計算できるような定数の値を求め、次にこれを測定値のグラフにプロットしてその有効性を検証します。

水筒の冷却を近似できる式は?

指数関数的減衰

指数関数的減衰は、下記の微分方程式で表されます。

これはつまり、

ある量(この場合はN)が減少するスピードは、Nの大きさに比例する … ①

ということを表しています。

Q値

住宅の断熱度合いを表す数値として、熱損失係数(Q値)を用いますが、この値は、熱が逃げる速度を表しています。この値が小さいほど、熱が逃げにくく、冬は暖かいことを表しています。

 熱損失係数(Q値)

そして、Q値の単位は、W/m2・K (W=ワット、K=絶対温度)

つまり、Q値は単位面積、温度差1度あたりで熱が逃げる速度を表している定数ですから、逆に考えると

  • 熱が逃げる速度は外気との温度差に比例する

ということです。

そして、もう一つ、一般的な事実として、

  • ものの温度は、逃げた熱量に比例して低下する 

この二つを合わせると、

ものの温度は、外気との温度差に比例した速度で下がる … ②

ということになります。

これはつまり、熱いものはどんどん冷えますが、ある程度冷えてくると冷えるスピードもゆっくりになるということで、日常の経験に一致しています。

以上より

②のものの外気との温度差は、①のNと同じ性質をもつので、指数関数的減衰の微分方程式を水筒の冷却状態を近似するのに使える(かもしれない)ことがわかります。

今回のグラフの近似式は?

ある時刻tにおける、ものの温度と外界の温度の差 T(t)は、T0(時刻ゼロの時のT(t)の値)と、定数Λ(ラムダ)を用いて、下記のように表すことができます。(T0、T(t)は、外界との温度差であって、温度ではないことに注意)

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サーモス 山専用ボトルの保温力を冷凍庫で試す

Overview: You’ll find the test result of THERMOS FFX-900 heat insulation in a freezing cool temperature.

北海道の極寒を冷蔵庫のフリーザーで代用する

室温での保温能力をチェックした前回の記事に続き、サーモス山専用ボトルFFX-900をテストします。

今回は、冷凍室に入れて温度変化を測定します。実際には昨冬の北海道車中泊で車内の温度がフリーザー並になることはあまりありませんでした。このときは合計9車中泊しましたが、マイナス20℃を下回ったのが一晩、マイナス10℃を下回ったのが二晩で、あとはマイナス一桁でした。

とはいっても、このために冷凍室の温度を変えるわけにもいかないので、マイナス20℃の冷凍室にサーモス山専用ボトルを入れて温度変化を調べてみます。

実際の使用においては、ボトルの半分くらいしか湯を入れない場合も多いので、ボトル容量(900ml)の半分(450ml)の熱湯を入れた状態でも同様の測定を行います。

熱が逃げる面積は変わらないのに、湯が半分になったら、温度も二倍の速度で冷めていきそうですが、どうなるでしょうか?

テスト内容

使用するボトル

今回は、冷凍室のスペースが限られているため、前回測定した三本の水筒のうち、サーモス山専用ボトルのみテストします。

テスト方法

サーモス山専用ボトル容量一杯(900ml)まで熱湯を注ぎ、冷蔵庫の冷凍室に入れて温度変化を測定する。

サーモス山専用ボトル容量の半分(450ml)まで熱湯を注ぎ、冷蔵庫の冷凍室に入れて温度変化を測定する。

いずれも熱湯を入れる前に、ボトルの余熱は行わない

測定

測定前には、水筒の中の温度のばらつきをなくすため、ボトルを振って中身を混ぜる

測定は、キッチン温度計を使用する。

温湿度データロガーを用いて冷凍室の温度も測定する。

サーモス山専用ボトル 保温テスト
ごちゃごちゃしていますが、右手にある2074と書いたテプラが張ってあるのが温湿度データロガーです。
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サーモス 山専用ボトルの保温性能をテストする

Overview: You’ll find the test result of THERMOS FFX-900 heat insulation in a cool temperature.

次回の北海道行きに備える

10月も後半に入り、だんだん寒くなってきました。この冬も北海道へ行きたいと考えて準備をしています。

北海道で冬に車中泊をすると、水筒に入れておいた熱湯が急速に冷えてしまうので、午後にもう一度湯を沸かさなくてはなりません。できれば、朝わかした湯がその日の夕方くらいまでは飲み頃の温度をキープしていて欲しいものです。何度も湯を沸かすのは手間ですし、バッテリーも傷みますから。

サーモス山専用ボトル発見!

何か良いものがないかと調べていたら、普通の魔法瓶(いや、今時は魔法瓶なんて言いませんね、多分)よりも保温/保冷力をアップさせた「山専用ボトル」(もしくは、山専ボトル)なるものを発見。

普通のマグボトルが2,500円くらいで買えるのに対して「山専用ボトル」はその倍くらいします。しかし、アマゾンのレビューは極めて高評価で、サーモスなら耐久性も間違いないと判断し、(それでも3日ほど考えてから)注文しました。

アマゾンジャパンより転載

三本のボトルの保温力を比較

わたしが今まで使っていたのは、よくわからないブランドの古い金属製の水筒です。今回は、これと合わせて、サーモスの500mlマグボトルも比較、保温力を下記の手順で測定します。

テスト内容

使用するボトル

  • よくわからないブランドの金属製ボトル (容量約900ml)
  • サーモス マグボトル (容量500ml)
  • サーモス 山専用ボトル FFX-900 (容量900ml)
サーモス山専用ボトル 保温テスト
今回テストしたボトルです。下に転がっているのがキッチン温度計
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【凍死しないために】極寒車中泊でどこまで寒くなるかを計算する方法

以前の記事でご紹介した北海道の温度データのグラフを一つの式でまとめられそうな予感がしたのですが、気づけばもう夏。

がしかし、先日やっと見つけました。極寒で冷えていく車内の温度変化を表すであろう数式を。

ハイエース冷却のモデル

※熱伝導については、こちらのサイトを参照しました。 もっと知りたい! 熱流体解析の基礎

極寒で冷えていくハイエースを、下図のようにモデル化しました。

(ちょっとひどい図ですが、それは置いておいて)

ハイエースの熱容量をC (J/℃)

ハイエースの全表面積を S (m2)

熱伝導によるハイエースから外界への熱流速を q (W/m2)とします。

このとき、ハイエース車体の熱伝導率をλ(ラムダ)とすると、熱の放出速度Q=qS= -λ×dT/dy×S

ここで、dT/dyは温度勾配と呼ばれ、温度の高い部分と温度の低い部分の間の温度の勾配のことを指しています。

下記を仮定して話を単純化します。

1.ハイエースからの熱の放出は、熱伝導によってのみなされる。(対流、輻射による熱の移動は無視する)

2.ハイエースから外界への熱伝導は、すべて同じ温度勾配でなされる。

3.この温度勾配の値は、ハイエース車内と外界の温度差に比例する。

すると、

4.ハイエースの温度の低下速度は熱の放出速度に比例し、

5.熱の放出速度は温度勾配に比例するので、

ハイエース内部の温度の低下速度はハイエース車内と外界の温度差に比例する

ということになります。

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