極寒車中泊人体実験のため、北海道へ出掛ける
今回北海道へ行った一番の目的は鉄道の写真を撮ることです。そしてもう一つの目的は、極寒でどうすれば快適に車中泊できるかをテストすることでした。もちろん、エンジンを掛けるかFFヒーターを取り付けるかすれば快適なのは間違いないのですが、それでは面白くありません。
そのため、車の屋根や壁に断熱材を埋め込んだり、電気毛布を入れたままで車内の温度変化を測ってみたりしてきたわけです。このあたりは、過去の記事、冬でも快適車中泊 ハイエース断熱化で車内温度はどうなる? あたりをご参照下さい。
目次
いきなり極寒の洗礼を受ける
今年の北海道は年明けから猛烈な寒波が度々押し寄せていました。寒波は吹雪とセットで来襲し、撮影の機会も奪われるため天候が良くなるのを待っていたら二月の終わりも近づいてきました。
一ヶ月予報では二月の末から天候がやや回復するとのことだったので、半ば見切り発車で2018年2月27日に新日本海フェリーで苫小牧に上陸しました。苫小牧着は夜なので、その日は占冠の道の駅まで走り、そこで車中泊することにしました。
車を停めて温度計を見ると…。マイナス20℃でした。
また、翌早朝に自分で取り付けた温度計をチェックすると、車外はマイナス24.6℃、車内は「測定不可」でした。車外温度はプローブを使って測定しているので、このような低温も測定できたものと思われます。
なお、温湿度データロガーに記録されたデータによれば、この夜の最低気温はマイナス22.9℃となっていました。
北海道ではぜんぶで9泊しましたが、結局この最初の夜が今回一番の寒さでした。これ以降も何回か車外がマイナス10℃を下回りましたが、エンジンを掛けずに車中泊を続けました。
万全の寒さ対策で臨む
これまでも何回か冬の北海道に撮影に出掛けていたのですが、断熱などしていない乗用車でしたので寒い上に寝心地も悪く、旅程が進むに従ってどんどん疲弊していくのが常でした。また、乗用車のシートやトランクで寝ていると床面からの冷気が強烈で、これが安眠の大きな妨げになっていました。
そこで今回ハイエースで初めて冬の北海道に行くに当たり、下記の対策を準備しました。
- 車体の断熱化(冬でも快適車中泊 ハイエース断熱化で車内温度はどうなる? ご参照)
- ベッドキット+断熱性の高いウレタンマットレス導入(アマゾンで人気 品切れのマットレス 類似品で代替可能か? ご参照)
- スタイロフォーム製断熱パネル製作(冬でも快適車中泊 ハイエース断熱化で車内温度はどうなる? ご参照)
- サブバッテリー駆動の電気毛布
- ハクキンカイロ(これは以前の北海道行きで使っていたのですが、今回も念のため持参しました。そして非常に役立ちました。)
寝具は2009年に購入したイスカ アルファライト1300 (化繊中空中綿を使用した寝袋)です。
最低使用温度はマイナス20℃とされていますが、長らく洗濯を怠って綿がへたっているせいか、最近はプラス2,3℃でも寒くて目が覚めてしまうところまで弱体化しています。
温度変化のパターン
今回の旅行では、出発から帰着まで温湿度データロガーを二台使い、それぞれで車内温度、外気温を測定して記録しました。
エンジンを切ってからの車内外の温度変化を下記のグラフを例に説明します。
これは、午前6時から翌日午前6時までの24時間の車内温、外気温、そしてその差をグラフにしたものです。黄色のマーカーが上にあるほど外気温に比べて車内が暖かい、ということです。日中(グラフの左側)は、走ったり、止まったりを繰り返しているので、温度が上がったり下がったりしています。
また、グラフ右側、黄色の網掛けをした部分は目的地に到着してエンジンを切ってから翌朝エンジンを掛けるまでの間を示しています。この間はエンジンを回しておらず、夜なので日光も射しませんから車内は冷える一方ということになります。この間、車内ではわたしの体温と電気毛布、そしてハクキンカイロ以外の熱源は使用していません。
黄色のマーカー(車内温度と外気温の差)をご覧いただくと、当初は車内の方が15℃くらい暖かかったのが時間の経過と共に低下し、明け方にはその差は3℃程度に縮まっています。
車内温度と眠り心地の関係
北海道内の9回の車中泊における、車内、車外の最低気温と使用した暖房器具、寝心地の関係をまとめたのが下記の表です。
なお、わたしは男性としてはさほど寒がりでも暑がりでもない、標準的な耐寒性をもっていると思われます。また、雪国や寒い地域(北海道、東北、北陸など)に居住したことはありません。
ピンクで網掛けをした二件は寒くて目が覚めましたが、それ以外は朝までよく眠れました。
この表をかなり乱暴にまとめてしまうと、
- 車内最低温度がマイナス5℃以下になると電気毛布が欲しい(ブルーの網掛け)
- 車内最低温度がマイナス5℃以上なら、寝袋にハクキンカイロを放り込めばしのげる
- 断熱パネルがあると、車内温度が車外温度に比べて2~3℃高くなる。また、ないと、車内温度と車外温度は明け方にはほぼ同じになるが、翌朝の状況に大差は無い。(つまり、断熱のお陰でエンジンを切ってから数時間は快適に過ごせるが、翌朝はいずれにしろ寒い)
まとめ
エンジンを切った車内で快適に眠るには、
- ウレタンマットレスを使って床からの冷気を遮断する
- 冬山用の寝袋を使う
- 車内の最低気温がマイナス5℃以上なら、寝袋にハクキンカイロを放り込む
- 車内の最低気温がマイナス5℃以下なら、電気毛布を使う
車内の温度をなるべく上げるには、
5. 車体に断熱材を施工する
6. 窓に断熱材、もしくはカーテンを取り付ける
但し、エンジンをかけないという前提であれば、車体を断熱したとしても翌朝の気温はほぼ外気温と同じになるので寝心地にはあまり関係ありません。
また、カーテンも冷気を遮断するのに有効です。窓に貼り付ける断熱材で車内が暗くなるのが嫌な方は荷室の四方をカーテンで覆うことでもエンジンを切ってから数時間温かく過ごすことが可能です。
補足
- 電気毛布は、敷き毛布をマットレスと寝袋の間に敷いて使いました。下面からじわりと暖まり、快適です。上に掛けて使った場合の使い心地は試していません。
- 寝袋は冬山用がベストですが、以前、冬の北海道に間違えて春秋用の寝袋を持参してしまい、当時はサブバッテリーはなかったのでハクキンカイロを毎日寝袋に放り込んでなんとか眠っていました。まったくもって安眠はできませんでしたが、凍死することもありませんでした。但し、カイロを放り込むためには、最低限袋状になっている必要はありますので、布団よりは寝袋が良いと思います。
- 寝袋の場合、外に出ている顔面は冷えるので、わたしはこの旅行が終わる頃には顔が荒れ、唇が割れてしまいました。ニベアなどで潤いを補給した方が良さそうです。
- 寝袋にハクキンカイロを放り込むと低温やけどの可能性がありますのでご注意下さい。
わたしは、昼間同様の服、靴下などを着用した状態でカイロにタオルを巻いて足下に放り込んでいます。腹部、背中などの下にカイロがあると、低温やけどになる可能性が高そうです。
以上、読んでくださり、ありがとうございます。
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