目次
おことわり
本記事は、2021年9月に行ったテストについて記載しています。
機種検討
ネットの評判を調べる
2021年初夏にハイエースサブバッテリーを鉛蓄電池からリン酸鉄リチウムイオンバッテリー(LiFePO4)に交換しました。最初に導入した電化製品は電子レンジ。Renogyの充電器は走行時に50A つまり650W程度の電力が無理なく充電できるので移動しながらの旅行なら電力を潤沢に使えます。そこで、次なる野望であるクーラーの導入を検討することにしました。
価格.comで調べると、どうやらナカトミのMAC-20の評判が良さそうです。
また、ネットを検索すると車中泊に利用されている方が多数おられます。
55Hzインバーターでの運転可否
電子レンジの時もそうでしたが、インバーターの周波数が55Hzなのでうまく動くかどうかわかりません。がしかし、調べてみるとエアコンは周波数が変わっても問題無さそうです。
サイズ
クーラーは助手席に置いて使うつもりでしたので、本体のサイズは幅45センチ、奥行き50センチが上限です。
これを買いました
さしたる迷いもなくナカトミ(NAKATOMI) 移動式エアコン MAC-20 (リンクはアマゾン商品ページへ飛びます) を購入。
今見るとわたしが購入した昨年秋と比べるとかなり価格が上がっています。これからが売り時だからなのでしょうか。
スペックはこちら。
寸法は助手席に設置可能な範囲です。消費電力は60Hzでも770Wなので55Hzならもう少し低いでしょうか。今回テストに使用するリン酸鉄リチウムイオンバッテリー(LiFePO4)の容量は約4.3kWhなのでフル充電なら計算上は5時間くらい運転可能ということになります。
ダクト設置
クーラーの設置
助手席にクーラーを載せ、ダクトをどう這わせるかを検討します。
付属のアタッチメント(上の写真)を使うと穴が楕円になって板の加工が面倒なのでホースを直接突っ込むことにします。
材料と工具を調達
910 x 910サイズのベニヤ板をホームセンターで購入。
また、板に穴を空けるためボードのこを購入。近所のホームセンターにはなかったのでアマゾンに注文しました。
これは本来石膏ボードをくりぬくための工具なので歯が大きく剛性もありません。薄いベニヤとはいえ木の板を切るのは結構大変でした。
ダクト完成
窓と同じ厚みのベニヤ板を使い、板の上部は窓同様の形に切断して窓枠にスポッとはまるようにしました。下部も窓の形に合わせて切断し、窓が板に当たるところまで閉じると写真のようにすき間がなくなるようにしました。
よく見ると板の幅が足りずミラー付近にすき間ができていますが今回はこのままでテストします。
試運転1 (2021年9月20日)
クーラーが傾いているが、そのまま運転
クーラーが板からはみ出して写真のように傾いていましたが、運転してみると冷風が出ています。また、冷風は座席の間を通って後方に流れており、これなら問題ないだろうと考えてそのまま運転することにしました。(傾きを直すのも面倒だったので)
車両後部から前を見たところ。車両中央部と後部に温湿度データロガーを取り付けてあります。
また、随時外から温度が確認できるようにリモート温度計の子機も配置。
この状態で12:25に運転を開始します。
さっぱり冷えないので傾き修正
クーラーからは冷風が出ているのですが、リモート温度計の温度はあまり下がりません。
13:20 このとき、車内中央は33.6℃、後方は34.1℃
14:32 それから一時間以上経ったのに、車内中央は31.4℃、後方は32.2℃と、あまり変化無し。
車内に入ってみると、確かに涼しくありません。
車内が冷えない原因は、クーラーが傾いているために冷風が一回窓に当たり、そこで温まっているためと推定。(窓は断熱フィルムを貼ったために太陽光がトラップされて表面温度が結構上がります)
そこで、いったんクーラーを停止。キャスターが板からはみ出して傾いていたのを修正した上で冷風がまっすぐ後ろに流れるようにクーラーの向きを調整しました。その際、クーラーが傾いていたために水が漏れてシートが水浸しになっているのに気づきました。スポット クーラー は傾けてはいけませんね。
運転を再開したところ、一気に冷えるようになりました。冷風が直接車内後部に吹き込ませるだけで冷却効果は格段にアップ。
このまま15:33まで運転したところで本日は終了としました。
車内外の温度変化
クーラー 始動後も、車内の温度(ブルー、グリーンのグラフ)はなかなか下がらなかったのですが、傾きを修正して冷風が車両後方まで直接届くようにしたところ気温が急ピッチで下がり始めているのが分かります。
なお、 クーラー の傾きを修正したときの温度がリモート温度計の値(車内中央で31.4℃)より高めですが、これはリモート温度計の方が低い位置にあり、低い位置からたまっていく冷気の影響を速く受けたためと思われます。
15:33には クーラー を停止しましたが、このときは車外よりも車内の方が2℃ほど低い28℃となりました。一見微々たるものですが、ほぼ同様の天候だった9月24日の同時刻における車内の気温は36℃ほどあり、その差は歴然です。
電力消費量
3時間8分の運転で、バッテリー残量は99%から40%程度に下がりました。電力量に換算すると、
4.3kWh(フル充電時の電力量) X 0.6 = 約2.6 kWh
クーラー の消費電力は770W程度のはずですから妥当な水準です。
ただしこのときは晴れており、太陽光発電で150~200W程度の電力を補っているのでその分消費電力は減っているはず。それを考えるともう少し消費電力が少なくても良かったような気もします。
クーラー のあしもとを補強する
18ミリの板で台座を作り直す
クーラー の重量に耐えられるよう、厚い板を使って クーラー を載せる台座を作り直しました。(当初のものは助手席に荷物を置いてもシートベルトのアラームを鳴らさないことが目的だったので、サイズも厚みも不足していました)
完成 シートの座面全体が隠れる長さにしました
試運転2 (2021年9月25日)
新しい台座の上に クーラー を後ろ向きに設置。
実際の使用を想定して排気を後方へ向けます。
車両後部から前を見たところ。側面のカーテンを閉めて窓ガラスからの放熱を防いだ状態で クーラー を運転します
車両後方の状態。リアゲート付近の黒い固まりは就寝時に使うマットレスです。
この状態で12:34に クーラー を始動し、バッテリー残量が20%になるまで運転を続けました。
車内の状況
今回は車内環境を体感するため、車内に滞在して試運転を行いました。車内にいると体に冷風が直接当たる部分だけは涼しく感じます。何もしない夏の車内は40℃を越えることも多く、とどまっていると命の危険を感じるほどですが、 クーラー の冷風を浴びている状態ですと(お世辞にも快適とは言えませんが)体に異常を覚えずに車内にとどまっていることは可能です。
機器の発熱状態
運転を続けていると、インバーターが発熱します。触るとかなり熱く感じられましたので、65℃、もしくはそれ以上だったと思われます。火事になるほどではありませんが注意が必要な温度です。そして大量の電流が流れるためバッテリーとインターバー間の電線もかなり熱くなりました。
車内外の温度変化
クーラー 始動直後に車内の温度は大きく低下、そのあと13時半くらいまでは横ばいですが、そこから徐々に低下し、外気温とほぼ同じ温度である30℃くらいまで下がりました。
結論
容量330Ah (4.3kWh) のリン酸鉄リチウムイオンバッテリー (LiFePO4) を99%から20%になるまで使うと、
- スポットクーラーを4時間弱運転可能
- この間、炎天下の車内でも何とか体調を崩さず過ごすことが可能
そのほかに分かったこと
- 周波数55Hzのインバーターで、ナカトミ MAC-20 を連続運転可能
注意すべきこと
- クーラーの冷風を窓に当ててはいけない (窓の熱で冷風が温まって冷却能力が大きく落ちる)
- クーラーを傾けてはいけない (水が漏れる)
- 運転中はインバーターがとても熱くなる(未測定だが燃えやすいものを近くに置かないよう注意したい温度) ので、インバーターの置き場所に注意
- 電線も発熱するのでバッテリー周りのの配線は極力太くする (わたしはバッテリーとインバーターの間は38SQを使用しました)
- ナカトミ MAC-20 は35℃以上では冷房が作動しないという記事(例えばこちらの記事 )を多数拝見したが、今回のテストでは車内温度45℃でも冷房できた。仕様が変わったのか、それともわたしの入手した個体の安全装置が壊れているのかは不明。
使用機材
- クーラー ナカトミ MAC 20 (2021年9月購入)
- インバーター GIANDEL 12v 2000w (型番不明) これにした理由は、中国製ではないがそこそこお値打ちなため
- バッテリー アリババで購入した330Ahの生セルを使用して自作、bmsはDalyの200A4S用を使用
- 太陽光パネル Renogy ソーラーパネル 100W × 3枚 設置
- 車両 ハイエース スーパーGL ロングボディ・標準ルーフ・標準幅 2017年式
バッテリーの詳細は下記の記事をご覧下さい
以上、読んで下さりありがとうございます