AMD Ryzen Mini-ITX PC自作で大失敗

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Overview: I have assembled 2 units of PCs with Intel CPU. This time, I tried AMD Ryzen CPU for the first time, and made some of almost fatal mistakes.

目次

1.初AMD、初Mini-ITX

わたしは50を過ぎてから自作デビューし、一昨年、昨年と各1台、インテルのCPUでPCを組み立てました。さて、今度は小型のPCを組み立てたいなあ、と思いながら調べていると、AMDのRyzenという魅力的なCPUが結構な人気を博しているのを発見。わたしも是非ともRyzenのPCを組んでみよう、と考えてパーツの選定に入りました。マザーボードは迷わず(=何も考えず)Mini-ITXです。

これまで組んだ2台のPCは、いずれもATXのでかいもので、ちょっとした脇机くらいの高さがあります。(最初にケースが届いたときはあまりのでかさにびっくりしました)

ですから小さいケースに色々詰め込まなくてはいけないMini-ITXについては実はよく分かっていなかった、ということに組立始めてから気づいたのでした。

ちなみに、AMDのCPUを使ったPCは、組むのは当然として所有するのも初めてのことでした。

2.パーツを選定して発注

子細に検討して下記のパーツを発注しました。(今回は細かい型番はどうでもいいのですが、一応書いておきます)

マザーボード ASRock Fatal1ty AB350 Gaming-ITX/ac

CPU AMD Ryzen 5 1500X BOX

ケース LIANLI PC-Q21

電源 コルセア SF450 CP-9020104-JP

メモリ CFD PC4-17000(DDR4-2133) 8GB×1枚 288pin DIMM D4U2133PS-8G

SSD  SANDISK SanDisk SSD UltraII 480GB 2.5インチ

重要なのは、CPUがAMDのRyzenで、マザーボードとケースがMini-ITXだ、ということです。

3.部品が届いて組立開始

CPUをマザーボードに取り付ける

マザーボードにCPUを取り付ける
マザーボードにCPUを取り付ける

これが今まで組んできたインテルのCPUとは勝手が違います。インテルの場合はCPUが金属の枠でカチッとソケットにはめ込まれる感じでしたが、Ryzenの場合はレバーを起こしてもソケットから接点がにょきっと顔を出しただけ。(少なくともわたしにはそう見えました)これでレバーを倒してもCPUがソケットに嵌まるようには思えません。

心配になってネットで調べてみましたが、やはりソケットにCPUを載せてレバーを倒すだけでOKのようです。実際、そうやってCPUは無事に嵌まったのですが、どういう仕掛けなのかいまだによく分からないです。

マザーボードにCPUを取り付け完了
マザーボードにCPUを取り付け完了

CPUクーラーを取り付ける

CPU付属の巨大なクーラーを取り付けます。これもインテルと勝手が違うので戸惑いました。

巨大なCUPクーラー
巨大なCUPクーラー

これまで組んだインテルのCPUクーラーは、マザーボードに脚をカチッとはめ込んで取り付けていましたが、今回はネジ止め。しかも、ネジと穴の間にスプリングが入っているのでネジが締まりません。

正確に言うと、相当に力を入れてクーラーをマザーボードに押しつけないとネジがネジ山にかからず空回りしてしまいます。どこまで力を入れて良いものか分からず、4本ともネジ山にかかるまでかなり苦戦しました。

インテルと勝手が違うCPUクーラーの取り付けに手間取る
インテルと勝手が違うCPUクーラーの取り付けに手間取る
一応、取り付け完了
一応、取り付け完了

メモリーを取り付ける

このマザーボードはメモリースロットが2つです。とりあえず8Gを取り付けますが、4GBのメモリーを二枚取り付けると万が一メモリーを16Gに増やそうとした場合、4G×2枚が無駄になりますので8Gを一枚取り付けることにしました。

これが、固い。本当に固かったですが、何とか取り付けました。

メモリーを取り付ける
メモリーを取り付ける
8Gメモリーを一枚取り付け
8Gメモリーを一枚取り付け

マザーボードをケースに取り付ける

これは特に問題はありませんでした。

マザーボードをケースに取り付け
マザーボードをケースに取り付け

SSDをケースに取り付ける

このケースは、天井に貼り付ける形で2.5インチドライブが1つ、そして側面と底面に貼り付ける形で2.5インチか3.5インチドライブいずれかを2つ取り付けることができます。

つまり、最大でドライブが3つ、そのうち2つまでは3.5インチも可能、ということです。

わたしは、天井にSSDを取り付けることにしました。

天板にSSDを取り付ける
天板にSSDを取り付ける
取り外した天板にSSDを取り付けた
取り外した天板にSSDを取り付けた

4.電源ユニットが付けられない!

電源ユニットを取り付けようとするが…

電源ユニットの箱を開けると、ご丁寧にもユニット本体と付属品がそれぞれ布製の巾着袋に入れられています。

そして、ユニットを取り出してケースに嵌めようとしてやっと気づきました。CPUクーラーと電源ユニットが干渉することに。

電源ユニットとCPUクーラーが交錯
電源ユニットとCPUクーラーが交錯

改めてケースのスペックを見ると、CPUクーラーの高さは60ミリ以下、と書いてありました。

PCケースのスペック
PCケースのスペック

組立中断、薄型のCPUクーラーを探す

ATXでは気にする必要がなかったCPUクーラーと電源ユニットの干渉ですが、実はMini-ITXの場合は重要なチェックポイントである、ということをこのときまで知りませんでした。自己流の限界ですね。

しかし、そういう需要に応えるために薄型のCPUクーラーが売られている、という記事を見つけて探しはじめたのですが…。

CPUクーラーを探す

Ryzenに使える薄型のCPUクーラーは存在しない

ところが、Ryzenは出たばかりの上にこれまでのAMDのCPUと互換性の無いソケットであるため、使用可能な薄型CPUクーラーはまだ発売されていないのでした。

じゃあ、ケースを取り替えよう

だったらケースを大きいものにして干渉を避けるのはどうでしょう。干渉しないサイズとなるとMicro-ATXあたりになるのですが、コイツはMicroを名乗っているくせにあまり小さくないのですね。脇机ほどでは無いにしても、奥行きと高さはATXとそう変わりません。

水冷ならいける?

でかいケースでは意味がないので必死になって探していたら、水冷CPU冷却ユニットがよさそうです。

Ryzenに対応し、CPU側のユニットの高さが60ミリ以下で、ラジエターがわたしのケースに収まるものはほんの2,3機種しかなく、その中で比較的評判が良くて、価格もほどほどのCPUクーラーを発注しました。

追加部品 CPU冷却ユニット Kuhler H600 Pro v2

水冷式CPU冷却ユニット
水冷式CPU冷却ユニット

PCケースと比べるとその大きさがわかります。

PCケースと冷却ユニットの梱包サイズが同じくらい
PCケースと冷却ユニットの梱包サイズが同じくらい

5.CPU冷却ユニットを取り付ける

冷却ユニットはインテル、AMDの双方に対応しているだけあって、取付用のアタッチメントが山のように付属しています。

インテルとAMDの各種CPU用にアタッチメントがたくさん
インテルとAMDの各種CPU用にアタッチメントがたくさん
インテルとAMDの各種CPU用にアタッチメントがたくさん
インテルとAMDの各種CPU用にアタッチメントがたくさん
インテルとAMDの各種CPU用にアタッチメントがたくさん
インテルとAMDの各種CPU用にアタッチメントがたくさん

ウォーターブロックの厚みは37ミリと、極薄です。

極薄のウォーターブロック
極薄のウォーターブロック

ウォーターブロックとラジエーターを繋ぐホースは金属製のジャバラホースで、そう自由に好きな方向に曲がるわけではありません。

パイプの曲がる方向に制約がある
パイプの曲がる方向に制約がある

どう曲がるかをチェックして、ウォーターブロックとラジエターをケースに押し込みます。

ウォーターブロックとラジエターが取り付け可能な方向を探って取り付け
ウォーターブロックとラジエターが取り付け可能な方向を探って取り付け

いったんラジエターを取り出して電源ユニットを取り付けます。

いったんラジエターを出して電源ユニット取り付け
いったんラジエターを出して電源ユニット取り付け

ラジエターを取り付けて出来上がり。

そしてラジエターを取り付け
そしてラジエターを取り付け

6.モニターに何も表示されない

喜んでPCをモニターに繋ぎ、スイッチを入れたのですが…。何も出ません。

メモリーを刺し直し、HDMIケーブルを刺し直し、モニターを取り替えて、と色々やってみましたが駄目。

早速調べる

散々調べた結果、Ryzenにはオンボードグラフィック機能が無い という衝撃の事実が。

多分AMDユーザーさんには常識なのでしょうが、最近のインテルのCPUは当たり前のようにCPUにグラフィック機能が内蔵されていますので、こんなことは思ってもみませんでした。

7.そしてグラフィックボードを買うはめに

水冷CPU冷却ユニット同様、外付けグラフィックボードもわたしには一生縁が無いと思っていたのですが、買わざるを得なくなりました。

そして、グラフィックボードを追加すると、どう頑張ってもCPU冷却ユニットのラジエターがケースの外に出ることになります。

これを買いました

高性能でお値打ちと評判のこのボードを買いました。

追加部品 グラフィックボード 玄人志向 GF-GTX1050Ti-4GB/OC/SF

グラフィックボードも購入
グラフィックボードも購入

さすが玄人志向。取説は各機種共通の英語のもののみ。

取説は英語のペラ紙一枚
取説は英語のペラ紙一枚

でも、安いからいいです。

いやあ、でかい。

グラフィックボードは結構でかい
グラフィックボードは結構でかい

横から見ると…。

取付には2スロットが必要です
取付には2スロットが必要です

これをマザーボードに取り付けます。

これは意外にサクッと入りました
これは意外にサクッと入りました

電源ユニットを取り付ける前に、動作確認をします。

緊張しますね。

動作確認
動作確認

スイッチオン→冷却ファンが回ります。

CPU冷却ユニットのファンが回り始めます
CPU冷却ユニットのファンが回り始めます

すると、おお、やっとモニターに文字が出ました。

そしてモニターにASRockのロゴが!
そしてモニターにASRockのロゴが!

ああ、長い道のりでした。(組立開始から一ヶ月!)

8.そして結局こうなりました

ラジエターを外に出したため、カバーのうちの一枚はそのままでは取付ができなくなりました。

しかし、カバーを加工する装置や工具もない。

仕方ないのでダイソーで買ったプラスチックボードを切り抜いて代わりを作り、マジックテープで止めるようにしました。

そして、ラジエターは、ダイソーの魚焼き網で固定。全部ダイソーで売っているものでまとめたので、この部分の追加費用は500円くらいに納まりました。(いかにも安っぽい見てくれなのは否定できませんが、実際安いのだからしょうがないですね。)

カバーを樹脂の板で作り直し、穴を開けて配管を通す
カバーを樹脂の板で作り直し、穴を開けて配管を通す
これはその裏側
これはその裏側

以上、読んでくださり、ありがとうございます。

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コメント

  1. 鈴木太郎 より:

    今更ながら、標準で付いているクーラーはグリスが添付されています。
    なので、改めて塗る必要はありません!

    1. jt1962 より:

      鈴木様
      コメントありがとうございます。写真をしっかり見て下さり、嬉しく思います。
      あまりに情けないので本稿には記載しませんでしたが、取り付けに手間取ってあれこれやっているうちに、グリスの塗布面があちこちに触れてグリスまみれになってしまったのでした。
      これでグリスが結構はがれてしまったのでは、と思い、手持ちのグリスを塗ってみた次第です。

  2. 37mm より:

    リテンションキットを使えば AM4 で使えるロープロクーラーはいくつかあります。
    CRYORIG や scythe も出しています。

    NH-L9A (65W まで)
    http://www.oliospec.com/shop/shopdetail.html?brandcode=000000002228&search=NH-L9A&sort=
    http://www.oliospec.com/shopdetail/000000005881/

    1. jt1962 より:

      おお、ありがとうございます。
      kakaku.comに掲載されていたCPUクーラーは全部調べたつもりだったのですが、本品は見落としておりました。(リストにはなかったのかもしれません)
      これを使えば「ラジエター外だし」をせずにいけそうですね。

      1. 37mm より:

        CRYORIG C7 でもいけると思います。

        https://www.ark-pc.co.jp/i/10400807/

        AM4 UPGRADE KIT TYPE C
        https://www.ark-pc.co.jp/i/10400865/

        1. jt1962 より:

          そうですね、いけそうですね。
          kakaku.comをもう一度見てみたのですが、CRYORIG C7は掲載されているものの、アダプターが別売りなのでAM4には対応していないことになって、Aスペック検索でAM4対応を選ぶとはじかれてしまうのですね。
          勉強になりました。ありがとうございます。

  3. つ(*゚ー゚) 204504bySE より:

    水冷ユニットをCorsair H60にすると、ラジエーターをCPUと電源の間に押し込んで電源ファンから排気できます。H600でも可能かもしれませんが。
    電源ファンのサイズの都合上SFX-L電源が推奨されます。またSSDは前面側に移動する必要があります。

    1. jt1962 より:

      コメントありがとうございます。

      Corsair H60は、冷却水のパイプが蛇腹ホースではなくてゴム(?)のような素材でできていますね。これは柔軟性があって比較的楽に取り回せるように見えます。

      ちなみに、電源ユニットの裏側(CPU側)は、穴も何もない板なのですが、このうしろにラジエータを取り付けると、電源ユニットに塞がれるような形になってラジエターの温風がケース内に充満してしまう、ということはありませんか?

      1. つ(*゚ー゚) 204504bySE より:

        電源ファンをCPU側に向けて、電源ファンがラジエーターから熱を吸うようにします。
        ラジエーターのファンは外します(そもそも入りません)
        CPUの温度が上がると、それにつられて電源ファンも回転数が上がるので問題なく冷やせます(Ryzen 1700+SX500-LGで問題なし)。
        着脱時にラジエーターを傷つけやすいので、ラジエーターのCPU側にファンガードを付けることをおすすめします。同じ理由で電源側のファンガードが飛び出ている場合は外すことをおすすめします。

        1. jt1962 より:

          おー、なるほど。それでSFX-L電源なのですね。
          そんな使い方ができるのですか。奥が深い。

          おしえて君で申し訳ないのですが、電源ユニットの冷却ファンの逆回転は、通常はどうやって行うのですか?
          BIOSはケースファンしか制御できませんよね?

          (言い訳:ネットを一通り調べてみたのですが、見当たりません。正攻法ではできないのかな??)

          1. つ(*゚ー゚) 204504bySE より:

            電源ファンの逆回転、電源をばらしてファンを逆向きにするしかないですね。というか一般的なファンは逆回転させることはできません。

            あと、マザーボードとクーラーの寸法をよく調べる必要がありますが、Cryorig C1あたりのファンを外して電源ファンに吸わせるのもありかもしれません。この点では水冷はクーラーを自由に移動できるので楽です。

        2. jt1962 より:

          つ(*゚ー゚) 204504bySEさん、コメントありがとうございます
          返信が繋げられないので一つ前のコメントに返信しています

          いやー、自作の世界は突き詰めると奥が深い。わたしはパーツを組み合わせているだけですが、パーツ自体を改造してしまうとは。
          また色々教えて下さい。

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