ハイエースソーラーシステムの充電能力50%アップ

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目次

夏を涼しく過ごすために充電能力をパワーアップしたい

以前の記事、【暑さ対策】エンゲル冷蔵庫で食料と人を両方冷やせるか? でご紹介した通り、車内の暑さをアイスノンでしのぐためには現在の充電能力では電気が足りなくなってしまうことがわかりました。

このための対策としては下記の2点が考えられます。

① エンゲルポータブル冷蔵庫をもう一台追加し、食品を冷やすために保冷剤を凍らせることをやめる→保冷剤を凍らせるためには冷蔵庫をほぼフル稼働させることが必要であるが、フル稼働は消費電力が大変多いため、冷蔵庫を2台体制にしてフル稼働させる時間を減らす。
② サブバッテリー充電回路の能力を上げることで使える電力を増やす
今回の記事では、この②の課題を解決していきます。

何が問題か?

図を御覧ください。上のブロック図は現状の回路、下のブロック図は問題を解決するための改造案です。

ソーラー発電回路ブロック図

現状

発電側: スイッチAとBを使ってAC100V(外部電源)、ソーラーパネル、オルタネーター(走行充電)の中から一つ選ぶ
充電側: スイッチCを使ってバッテリー1,バッテリー2のいずれかを選ぶ
という回路になっており、バッテリー1とバッテリー2の両方を同時に充電することはできません

改造案

発電側: AC100Vとソーラーパネルのいずれかを選ぶ
充電側: スイッチBとスイッチCを使って選び、AC100Vとソーラーパネルのいずれかオルタネーター(走行充電)のどちらかをバッテリー1に、他方をバッテリー2に割り当てる

という回路に変更するとバッテリー1とバッテリー2の両方を同時に充電できます

改造案の問題点

バッテリーを充電する際使用する充電器は1個でなくてはなりません。ところが、スイッチB,Cの操作を誤ってソーラーパネルとオルタネーター(走行充電)の両方を同じバッテリーにつないでしまうと2個の充電器が同時につながることになり、いずれかの充電装置が破損する恐れがあります

希望を叶えるスイッチが見つかった

現状使用しているスイッチは、2極双投型で、回路図は下記のようになります。このスイッチで充電先をバッテリー1からバッテリー2に切り替える、といった使い方ができます。前掲の改造案では、2極双投型トグルスイッチB,Cを使って充電するバッテリーを切り替えようとしています。

2極双投型スイッチの回路図

しかし、この方法では遅かれ早かれ操作ミスをやってしまいそうで、なかなか改造に踏み切れずにいました。

ところが先日、MonotaROのサイトでこのスイッチを見つけました。これは上述の2極双投型が2つ繋がった4極双投型のスイッチです。ポイントは、30V直流の場合で、15Aという大電流に対応していること。極数の多いスイッチは流せる電流も小さくなる傾向があり、大電流対応の4極双投型のスイッチなどあるわけないと思い込んでいました。

4極双投型スイッチ

こちらが4極双投型の回路図です。二個の2極双投型スイッチを一つのスイッチで同時に操作できる、というイメージです。

4極双投型スイッチ回路図

このスイッチを使って下図のような回路を作れば、誤って走行充電とソーラーパネルを両方とも同じバッテリーに接続してバッテリーを破損させるという恐れはなくなります。

4極双投型に機器をつないだ回路図

ついでに走行充電もパワーアップ

現有の走行充電装置は昇圧型のチャージコントローラーを用いたものですが、充電能力は最大でも100W。これをどうにかして増やすことができないかと考えていたところ、下記のようなDCDCコンバーターを見つけました。

これを使ってオルタネーターからの電流を12Vから36Vに昇圧して給電すれば、現在ソーラーパネルが繋がっているチャージコントローラーにも走行充電をさせることが可能となります。つまり、二系統のバッテリーに対して同時に走行充電ができるようになる、というわけです。

DCDCコンバーター

問題はこの昇圧装置の性能が本当に書いてあるとおりなのか、ということです。☆が4.5というのも逆に怪しげ。
いろいろ検索してみると、ユーチューブにこれを使ってバッテリーの充電をしている動画がアップされており、ある程度は使い物になりそうです。また、モードの切替で、設定の保存もできそうなので起動するたびに条件を入れ直す、という手間もなさそうです。

Drok 200150 — $30 Lithium Ebike Charger

改造実施

使用した部品

4極双投型トグルスイッチ パナソニック WD1721F 1,390円+消費税

DCDCコンバーター Drok 200150 4,288円(税込み)

これ以外にブレーカーを2個追加しました。
また、スイッチのレイアウトもわかりやすく見直したため、給電部の配線はほぼやり直しです。

改造作業

部品を大まかにレイアウトし、配線して通電チェック

ハイエースソーラーシステム改造

チェックで見つかった配線ミスを修正して、機器を固定します。写真左下のタッパーにDrokのDCDCコンバーターが収納されています。タッパーの穴は、冷却ファン用です。

ハイエースソーラーシステム改造

2019/08/23追記

先日負荷をかけて試運転したところ、かなり発熱することがわかりました。(放熱フィンはたちまち触るとやけどするくらいの熱さになりました)
したがって現状のようにタッパーを利用した格納容器では熱で発火の危険があるため、現在対策を検討中です。うまくいったら追記いたします。

回路の仕組みは?

回路図を下記に示します。

ハイエースソーラーシステム改造の回路図

この回路の仕組みを簡単に説明しますと、

  • 2極双投型トグルスイッチA1,A2を操作してソーラーパネル、DCDCコンバーター(走行充電)=S1、100V電源(外部電源)=S2、の中から使用する電源を1つ選ぶ。この電源からチャージコントローラーS4に電力が供給されてバッテリーが充電できる。
  • ここで選んだ電源と、従来からあった走行充電装置S3の2つを同時に使って2系統のバッテリーを同時充電できる。どちらがどちらのバッテリーを充電するかは4極双投型トグルスイッチA3を切り替えることで変更できる。

今回使用した4極双投型トグルスイッチは、端子形状がねじ、はんだ、タブの三種類から選べるのですが、はんだ付けに自信がないわたしは迷わずねじ式を選びました。(配線が間違っていた場合の修正も、ネジ式のほうが格段に容易です)
ネジ式の場合に使用する丸型端子の穴径は3.5ミリです。

丸型圧着端子

その効果は?

先日九州へ肥薩線を撮影に行った折に試してみました。連日快晴だったこともあり、ソーラーと走行充電装置S3の同時利用によって毎朝充電量はほぼ80%以上を維持できました。(ただし、今回は冷蔵庫の2台同時使用や冷やし枕の冷却は行っていません)
また、Drok製DCDCコンバーターによる充電テストも未実施です。

この夏、北海道へ行った折にはエンゲル冷蔵庫2台体制で冷やし枕の冷却を行い、電気の残量がどのように変化するかをテストしたいと考えています。

かかった費用

表に示すとおりです。費用は全部で1万円強。消耗品は手持ち品もかなり流用しましたので、表の数字は概算です。(数字はこまかいですが…)

かかった費用一覧

かかった時間

使用部品の検討、調査、手配 8h程度
回路図の修正、テスト方法検討 8h程度
配線作業、テスト実施 合計6h程度

まとめ

数万円レベルで行えるソーラー充電システムの改造は、ほぼやりつくしたと言えます。
今回導入したDrok DCDCコンバーターがスペック通りの働きをしてくれれば、走行充電によって毎時300Wh程度の電力を充電できる、という皮算用です。
これが正しければ、3時間強の走行で1kWhの充電が可能ということになり、雨や雪のときでも電力不足に悩まされる恐れがほぼ解消できるはずです。

おことわり

今回選定した4極双投型のスイッチが電力を供給しているDCDCコンバーターは、コイルなども備わっているため抵抗負荷の場合のスペックである30V 15Aの電流を流すとスイッチの寿命が短くなる、破損する、といった可能性があります。したがって、本記事を参考にされる場合はスイッチ、及びその他機器で異常な発熱や焼け焦げなどが発生していないことを十分確認いただくようお願いします。(当方でも現時点でこのあたりは未確認です)
また、直流が流れる場合、スイッチを入れる時と切る時に特にスイッチへのダメージが大きいので、容量に余裕のないトグルスイッチは電源投入前に予め切り替えておき、電源の投入は大電流に対応した十分余裕のあるブレーカーを操作して行うようにするとスイッチの寿命が伸びます。

スイッチへのダメージについてはこちらの記事が参考になります。
定格と負荷係数

以上、読んでくださりありがとうございます。


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