Overview: Now it’s difficult to find the place safe from natural disaster. So I installed water tank system which can collect and reserve rain water to provide water in case.
西日本豪雨、台風24号、北海道胆振地震と、今年は災害が多発。もはや日本に安全な場所はないとまで言われています。そして、災害時は長期間の断水も覚悟する必要があります。その場合、飲料水は保存水の備蓄と給水車でまかなうとしても、掃除、洗濯などに使う生活用水は別途確保する必要があります。
拙宅の場合、
近くの川から汲んでくる
家に降った雨水を貯める
といったあたりが有力な選択肢となります。
今回、雨どいに集水器を取り付けてタンクに水を貯めることができるようにしました。部品、機材の選択と作業内容、そして押さえるべきポイントについてご説明します。
目次
おことわり
- こういったものを設置することで住居のメーカー保証がどうなるのか、ということについては調査しておりません。この記事を参考に水タンクを設置される方は、ハウスメーカーに保証について問い合わせた方がよいかもしれません。
- 記事に記載した方法で現時点では問題は発生しておりませんが、今後とも問題がないかどうかは保証できません。何かあれば随時書き足しますので、ご覧ただくようお願いします。
- 2021/01/10追記
現在も雨どいから雨水をタンクに貯めることは問題なくできています。また、2年ほど放置してあってタンク下部からの水抜きもしていなかったのですが、ずっと滞留していたはずのタンク内の水は腐敗していませんでした。
但し、水に混じった砂埃を濾過するには、タンクドレン穴から水が抜けるようにした方が良いです。これらについては続編の下記記事をご参照ください。
概要
拙宅は4年前に建てた一条工務店のアイスマートです。
今回設置したのは、屋根に降った雨を下水に流す雨樋縦パイプに集水器を取り付けて分岐させ、雨樋縦パイプを流れる水の一部をホースに取り分けて水タンクに流し込み、貯水するという装置(?)です。
水をタンクからくみ出すためにポンプも購入しましたが、今回はテストしていません。別途報告します。
部品/機材選定
雨水タンク
洗濯機は1回の洗いとすすぎで100リットルくらいの水が必要なので、少なくとも300リットルは欲しいと思っていたのですが、設置スペースとの関係もあるのでむやみに大きくはできません。
当初は玄関先に置こうとしていたのですが、真っ黒な丸い水タンクは見栄えがよろしくないため庭の隅に変更。そうなるとスペースの関係でタンクの直径は80センチ弱が目一杯となり、スイコークリーンタンクの200リットルを置くのが限界ということになりました。
集水器
広く市販されている集水器は下記のようなものがありました。
一条工務店アイスマート雨樋の縦パイプは、40mm×40mmの角形で、これに対応した集水器は市販されていませんでした。(まあ、当然といえば当然ですね)
カクダイ雨水取り出し継ぎ手はアタッチメントの変更で角形の縦パイプにも使えますが、対応サイズは60mm角と、一条アイスマートにはかなり大きめです。
がしかし、手ごろな価格で手に入る角形パイプに対応した集水器はこれがほぼ唯一の選択肢。丸い雨樋に対応した集水器よりは手間が少なそうなので、これを使うことにしました。
ホース
雨水を集水器からタンクへ流すためのホースは、カクダイ雨水取り出し継ぎ手と同じカクダイが販売している雨水取り出しホースを購入しました。
このホースは、集水器とセットでも売られており、水の取り出し口(=外径32mm)に適合するサイズです。
ネジ付きソケット
水をためるスイコークリーンタンクには、集水器からのホースを接続するソケットはありませんので、タンクに穴を開け、写真のようなネジ付きソケットを取り付けます。
下図左側のストレート部に前項のホースをねじ込みますので、この外径(下図のφD2)が32mmのものを入手しました。
穴あけ工具
できれば高い工具を買わずに何とかしたかったのですが、あまり手間がかかるのも嫌なので、MonotaROで見つけた安価なホールソーを購入しました。前項、ネジ付きソケットねじ部の外径(上図のφD4)は35mmですので、加工径36mmのものを購入。
のこぎり(選択ミスで最後まで切断できず)
雨樋を切断するため、ダイソーでのこぎりを購入しました。
木を切るためののこぎりはあるのですが、これはプラスチックを切るには歯が粗く切りにくそうだったので画像の品をテスト的に購入。
発泡スチロール切断機(結局使用せず)
カクダイ雨水取り出し継ぎ手と雨樋の縦パイプをつないだ際に生じる隙間を埋めるため、発泡スチロールでスペーサーを作ろうと考え、そのために発泡スチロール切断機を入手しました。ダイソーで100円。
こいつは単二電池が必要なのですが、うちにあるのは単三電池
単三電池をねじ込んで使おうとしたのですが、単三電池はうまく入らず。
このために単二電池を買っても他に使い道がないので、発泡スチロール切断機の使用は断念し、カッターで切ることにしました。
その他
発泡スチロール
カクダイ雨水取り出し継ぎ手と雨樋縦パイプの隙間を埋めるのに使いました。
シリコン
発泡スチロールのスペーサーとカクダイ雨水取り出し継ぎ手の隙間を埋めるため購入。
うかつにもシリコンガンの手配を忘れ、手で押して絞り出す羽目に。
それもあって充填したシリコンはてんこ盛りになってしまいました。
プライヤー
ホースバンドを締めるのに使用しました。
設置作業
雨水タンク設置
雨水タンクは、容量200リットルの小さめなものを買ったのですが、それでも結構なサイズ。円筒形で上面に蓋があって開閉でき、底の方には水を取り出すためのプラグがついています。
このプラグはタンクの最下面から突き出しており、地面に直接置くと使えなくなりますが、わたしは別途ポンプを買って上から水をくみ出す予定なのでタンクは地面に直接置くことにします。
メーカーに問い合わせたところ、水を取り出すプラグを使わないのであれば、地面に直接置いても問題ないとのことでした。
雨樋切断
所定の位置にタンクを置き、ホースが突っ張らず、かつ適度に傾くようにカクダイ雨水取り出し継ぎ手の取り付け位置を決めます。
ホースの途中で水がたまるのも避けたいので、ホースが下がってまた上がる、という状態にならないよう注意します。
説明書にある、切断長さの上限と下限をマーキングします。
のこぎりで壁を削らないように噛ませものをします。
パイプが割れないよう、テープで補強し、まずは切断長さの下限で切断します。
緊張しますね。
のこぎりは、プラスチックも切断対象として書かれていますが、プラスチックを切るにはこれでも歯が粗いです。
何というか、取り返しのつかない悪いことをしているような、嫌な気分。
のこぎりで問題発生
ところが、なぜか途中で切れなくなりました。
よく見たら、歯の根元がつかえています。あちゃー!
代わりののこぎりを調達
慌ててダイソーへダッシュ、これを買ってきました。
しかし・・・
今度はのこぎりの本体が壁に当たります。なんと間抜けなことよ
そこで、噛ませものを取り除き、雨樋のパイプを手前に引っ張り、歯が壁に当たらないようにして切り進めます。
(写真は、パイプを引っ張っていた右手でシャッターを押しているのでパイプが引っ張られていません。悪しからず)
ああ、完全に切れた。もう引き返せません。
なぜ背徳感を感じるのか?
そして、パイプの破損防止のために貼ったテープを剥がそうとしたら、テープの糊ががパイプに残ってしまうという悲しい事態に。
無精をせず気づいたときに布のガムテープを取りに行けばよかった、と思ったがもう遅い。
それはさておき、作業を続けます。
集水器を取り付け
本体をはめ込んで、
フィルターとその上に角パイプ用アタッチメントを取り付けます。
ご覧の通り、アタッチメントと雨樋の角パイプの間には、幅約10mmの隙間が発生しています。
下から見ると、こちらもこの通り隙間が。
集水器と雨樋縦パイプの隙間を埋める
発泡スチロールのスペーサーは失敗
これを埋めるため、発泡スチロールでスペーサーを作りました。
なお、先ほどご紹介した通り、発泡スチロール切断機は、単三乾電池がはまらなかったため使用を断念。
カッターで発泡スチロールの板からこのような部品を切り出しました。
そして、これをパイプにはめようとしたら・・・
たちまち壊れてしまいました。
カッターで切ると、外周はきれいに切れるのですが、内側はささくれだってざらざらになってしまい、スムースにはまらずこのように壊れてしまいました。
結局発泡スチロールの角材で隙間を埋める
そこで四角形のスペーサは断念し、厚み10mmの角材を切り出して隙間にはめて、
シリコンで固めました。
シリコンは、ガンがないのできれいに塗ることができず、てんこ盛りになりました。
なお、下側の隙間は発泡スチロールが落下してしまうため、この方法で埋めることは難しい。しかも、ガンがないのでシリコンを塗るのも難しい。
その後、上側でてんこ盛りにしたシリコンが固まってからチェックすると、下側は隙間があっても問題ないとわかったので結局何もせず。
現時点までは特にこれによる問題は発生していません。
集水器と雨樋縦パイプがうまくつながらない
この隙間より問題なのは、上から水が流れてくるカクダイ雨水取り出し継ぎ手の丸い口が、雨樋の縦パイプにはまらないため、このまま雨が降るとパイプを通ってきた水が下水へ流れずにあたりにまき散らされてしまいそうなことです。
これはつまり、雨樋のパイプから、フィルターのメッシュ(赤の破線)を通ってカクダイ雨水取り出し継ぎ手に流入した水(水色の矢印)のうち、
ピンクのパイプの中に入った水が黄色のパイプ(=雨樋の縦パイプ)を通って下水へ
ピンクのパイプからはみ出した水が、左の口からホースを通ってタンク(今回の場合、スイコークリーンタンク200)へ向かいます。
ところが、図で黄色く塗った雨樋の縦パイプが本来の寸法より小さく、下図のようになってうまくはまりません。
そして、ピンクと黄色の間から水が漏れて雨樋の外に流れ落ちる、というわけです。
この写真でも、下からピンクのパイプ断面に相当する部分がはみ出して見えているのがわかります。
シリコンじょうごで水漏れを防ぐ
そこで、下図のように、じょうご(黄緑色で塗った部分)を挟み込むことで水漏れを防ごうというわけです。
台所に転がっていたシリコンじょうご
カクダイ雨水取り出し継ぎ手本体を裏から見ると、このようになっています。
シリコンじょうごをはさみで切ってサイズを調整します。
うまくはまりました。
しかし、シリコンじょうごでは本体の重量を支えられず潰れてしまいます。
そこで、とりあえずの方策としてカクダイ雨水取り出し継ぎ手を針金で縛って雨樋縦パイプを壁面に取り付けている金具にひっかけ、シリコンじょうごに力がかからないようにしました。
ネジ付きソケット取り付け
ホールソーで穴開け
次に、ネジ付きソケットをスイコークリーンタンクに取り付けます。
36mmホールソー登場。
近所のホームセンターのレンタル電動ドリルに取り付けます。
あっという間に穴開け完了。(穴開けは両手を使うので、作業中の写真はありません)
1分もかからずあっけなく終わってしまいました。
きれいに開きました。
ネジ付きソケット取り付け
ネジ付きソケットを分解して・・・
取り付け完了。
ちなみに、スイコークリーンタンクの蓋は、厚みがあってしっかりしています。
蓋を閉めるとこうなります。
ホースをつないで完成
ホースをつなぎます。
たるみなし
ホースバンドは、手ではとても締まらないので、プライヤーで締めます。
これにてとりあえず完成。
じょうごは後ほど金属製に交換して針金を外す予定です。
かかった費用
水タンク、集水器、ホールソー、ホース、その他トータルでざっと2万円強、といったところです。
かかった時間
工事そのものは半日程度です。
注意すべきポイント
のこぎり問題
雨樋の縦パイプ切断用のこぎりを購入される際は、下記の二点を確認しなくてはならなかったのでした。
下図aの寸法(歯面から飛び出している部分の寸法)が、雨樋縦パイプと壁の隙間より小さい
下図bの寸法(切断できる最大厚み)が雨樋縦パイプの直径より大きい
また、歯はなるべく細かい方が切り始めに歯がぶれないのできれいに切れますし、切断中に必要な力も小さいので、パイプにかかる力を小さくして破損を防ぐことができます。
カクダイ雨水取り出し継ぎ手と雨樋縦パイプの間を埋めるスペーサー問題(特殊サイズの雨樋の場合のみ)
今回は発泡スチロールでスペーサーを作りましたが、ダイソーなどで入手できるプラスチック板を必要なサイズに切り抜くほうが簡単にできると思います。
また、今回はスペーサーとカクダイ雨水取り出し継ぎ手の接着にシリコンを使いましたが、これはシリコンである必要はありません。接着剤などで接着すれば両者がガタガタするのは防げますのでこれで十分です。(といいつつ普通の接着剤は塩ビには使えませんのでシリコンが一番手軽かもしれませんが)
なお、取説にも指示がありますが、カクダイ雨水取り出し継ぎ手と雨樋縦パイプの上側は接着しないようにしてください。(そもそも、接着する必要もない)
カクダイ雨水取り出し継ぎ手が雨樋縦パイプの下側にはまらない件(特殊サイズの雨樋の場合のみ)
これは予想していませんでした。
この記事を読まれて水タンクを設置してみようと思われた方は、事前に(シリコンではなく金属製の)じょうごと金属用のはさみをを準備しておき、じょうごがカクダイ雨水取り出し継ぎ手にはまるよう切断して使用するのがよいと思います。
まだ作業していませんが、下記のじょうごを購入しましたので、後日切断してシリコンじょうごと交換する予定です。
以上、読んでくださりありがとうございます。
はじめまして。
私も一条の家住まいです。
たまたま今同じことをやっていまして、貴情報を見つけました。
すみませんが、ひとつ教えていただけませんか。
上部から挿入する角樋が4センチと細いため、雨水の大部分が貯水タンクに流れずに、まっすぐ下に抜けそうだと心配しています。
現物を見ると、4センチの角樋の四隅から流れ落ちる、僅かな分しか拾えないように思えてなりません。
実際に稼働させてみて、そのような問題はありませんでしたか?
コメントありがとうございます。
おっしゃる通り水の溜まるスピードは速くありません。記憶があやふやですがタンク200 L がいっぱいになるのに一か月ぐらいかかったように思います。今のところはタンクの水を使う機会が少ないのでそのままにしています。 災害が起きてこのタンクの水を本格的に使わなければならなくなった時には 何らかの細工をしてタンクに溜まる水の量が多くなるようにしたいと思っています。
今出先ですので詳しいデータが手元にありませんが、自宅に戻って何か参考になる数字があればまた投稿します。
データが見つかりました。
10月20日に据え付けて、11月2日時点でタンクの水位は22センチ。
容量200リットルのタンク全高は55センチほどなので、200×22/55=80リットルほどの水が溜まった計算。
この間の降水量は、近隣測候所のデータから、合計14ミリ。
よって、降水量1ミリでタンクに約5リットルの水が貯まるということになります。
なお、拙宅の屋根の投影面積は約65平米で、左右二箇所に縦樋がありますので、縦樋1本あたりでは32.5平米。
32.5平米の屋根に1ミリの降水があった場合、降った水の量は325,000(平方センチ)×0.1センチ=32,500(立法センチ)=32.5リットル
よって、回収率は5/32.5=約15%
ということになります。
意外に高かった。