今回、満タンサブバッテリーでどれだけの湯が沸かせるかを調べるため、北海道旅行で使用した電力とバッテリーの電圧の関係を記録しました。
目次
テストに使った機材
ポット
湯沸かしに使った器具は、以前の記事(車中泊の車載バッテリーで使いやすい低消費電力の電気ポット)でご紹介した象印 沸とう電気ポット 1.0L CH-DT10-XJです。これは、大電流ですぐに沸くティファールなどとは異なり、1リットルの湯を沸かすのに15分くらいかかりますが、消費電力が430Wと少ないので小容量のインバーターでも使用できます。
サブバッテリー
容量105Ahということは、これ一個に蓄えられる電力は、105Ah×12V=1260Wh=1.26kWh です。
私のハイエースでは、このM27MFを2個直列で使用していますので、蓄えられる電力は1260W×2=2.52kWh です。
使用時のバッテリーの挙動
湯沸かしを開始するとバッテリーの電圧は使用前(◆)から大きく下がり(●)、湯沸かしを終えるまでじりじり下がっていきます。(■)
湯沸かし終了後は電圧が大きく上がり、そのまま放置しておくとさらに上がって安定します。(▲)
インバーターは、バッテリーの電圧が1個あたり10.5V以下になると自動的に遮断されて使えなくなります。つまり、上の図で、終了直前の電圧が21Vを下回ったら使えない、ということです。
測定条件
- 前掲の電気ポットで湯沸かしを行い、電圧と消費電力を測定して記録する。
- テストが終わるまでバッテリーの充電は行わない。
- 湯沸かしと湯沸かしの間には、バッテリーが安定するのに十分な時間(今回は結果的に4時間~20時間程度)間隔をあける。
- なお、沸かした湯の量は毎回違います。(今回は消費電力を測定しているので、沸かした湯の量は測っていません)
測定結果
わたしのハイエースには、2個直列のバッテリーが2系統ありますので、対象バッテリーでは湯沸かしのみを行い、それ以外のスマホ充電、モバイルバッテリー充電などは別系統で行いました。テスト1、テスト2とも、最後は湯沸かし中のバッテリー電圧が21V以下になってインバーターが自動遮断されています。
グラフを見ると、下記のことがわかります。
- 湯沸かしを開始すると、バッテリーの電圧が2V前後下がる。
- 430Wのポットで湯沸かしができるのは、使用前のバッテリー電圧24V程度まで。
また、バッテリーが消耗するに従って電圧が下がっていきます。使用前のバッテリー電圧について、テスト開始時と、インバーターが自動遮断される1回前の湯沸かし時の間で消費した電力と降下したバッテリー電圧を計算すると、下記のようになります。
- テスト1は、バッテリー電圧が1.5V降下する間に0.77kWhの電力を
- テスト2は、バッテリー電圧が0.7V降下する間に0.41Vの電力を
取り出すことができました。
これをバッテリーの電圧降下1Vあたりに換算すると、
- テスト1 0.77/1.5=0.51kWh/V
- テスト2 0.41/0.7=0.58kWh/V
よって、少なめに見ても、0.5kW/V程度の電力を取り出すことができると言えそうです。
これはつまり、105Ah×2個を直列につないだサブバッテリーの場合、26Vまで目一杯充電して、電圧が24Vに下がるまで使えば、0.5kWh×2=1.0kWh程度の電力が湯沸かしに使える、ということになります。
何リットルの湯が沸かせるのか?
今回テストに使用したポット、インバーターを用いて気温10℃くらいの車内で1リットルの湯を沸かしたときの消費電力は、毎回おおよそ0.11kWhです。
したがって、2個直列で1.0kWhの電力を取り出せれば、合計おおよそ9リットルの水を沸騰するまで沸かすことができます。
まとめ
下記の条件下で容量105Ahのサブバッテリー2個を直列につないで電圧26Vまでフル充電した場合、430W程度の低出力ポットで約9リットルの湯を沸かすことができる。
条件
- 室温10℃
- 一回の湯沸かしは1リットル以下
- 湯沸かしと湯沸かしの間はバッテリーが安定するのに十分な時間をあける
補足
- 使用する電気製品の消費電力が大きいほど使用中の電圧降下が大きくなるため、取り出せる電力量も少なくなる。すなわち、高出力のポットを使うと沸かせる湯の量も減る。
- また、バッテリーが1個の場合、バッテリーに掛かる負荷はこのテストの2倍になるので沸かせる湯の量は減るはず。
なお、鉛蓄電池を使ったサブバッテリーは、フル充電で電圧が13V、全部使い切ると11.5Vとなります。
以上、読んでくださりありがとうございます。