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DCDCコンバーターでバッテリーの充電を試みるが…
以前の記事でハイエースのオルタネーターにDCDCコンバーターをつなげて12V直流を36V直流に変換、これをソーラーパネル用のチャージコントローラーに供給してバッテリーを充電しようというところまでご紹介しました。
この図でいうと、赤枠で囲んだDCDCコンバーターを追加し、ソーラーパネルに代わってここから供給した電気をチャージコントローラーに送ってチャージコントローラー(青枠)からバッテリーを充電しようという目論見です。

がしかし、結局のところ取り出した12Vの電流をチャージコントローラーが作動する36Vまで昇圧することはできませんでした。
使用したDCDCコンバーターはこれ

DC8V-60Vの入力を10V-120Vに変換可能、出力も900Wを謳っています。わたしは150Wも出れば御の字なので、これを試してみました。この価格では国産の類似品は見当たりません。(国産だと価格の桁が違ってきます)
また、これ以外の中国系メーカーのものは☆が一つ、二つといった低評価なので怖くて手が出せません。
テストしてみる
商品説明では電圧は120Vまで上がることになっていますが、きちんとした仕様書があるわけではありません。取説もいかにも中国語を機械翻訳したようなわけのわからない英語が書いてあります。このお値段なので能書き通りに動くとは全く考えていませんでしたが…
電圧36V
まずは電圧を36Vにしてバッテリー直結ケーブルを接続。
DCDCコンバーターの出力をチャージコントローラーにつないでいない状態ではLED表示も36Vを表示しています。

しかし、スイッチを入れてチャージコントローラーへ電流を流し始めると、たちまち電圧は30V以下に下がります。(この写真では26.28 いや、26.88? を表示しています)

これではチャージコントローラーはバッテリーを充電できません。
DCDCコンバーターの設定を様々に変えてみる
DCDCコンバーターは、電圧と電流が設定できますので、電圧を上げてみたり、電流を下げてみたり、様々試してみましたが、どうやっても30V以上に上がらないのは同じでした。
この時のチャージコントローラーの表示は?
チャージコントローラーはつないだバッテリーの電圧に合わせて自動で12V系か、24V系かを判別します。私の場合は12Vのバッテリーが2個直列に繋がれているのでチャージコントローラーは自動的に24V系として作動します。このとき、チャージコントローラーに30V程度以上の電圧をかけないとバッテリーへの充電を始めてくれません。
従って、DCDCコンバーターで発生する26V程度の電圧がかかっても、「LOW」と表示が出るだけで、充電は行われませんでした。(写真を撮り忘れました)
それなのにバッテリーは充電されている
この時、チャージコントローラーは充電していないつもりなので、バッテリーは充電されないはずです。ところが、何故かテスト中にバッテリーの電圧が上がっている。調べてみるとやはり充電されていました。
写真の左下のウォーターマークが鬱陶しいですが、この写真を見ると、クランプメーターの表示は3.94となっています。これは、チャージコントローラーからバッテリー1に繋がる電線(図の黄色の矢印で示したところ)を流れる電流の値です。

そして、同じ場所の電圧、電流を測定している右側の電流/電力計M1(黄色の矢印)を見ると、クランプメーターの表示同様、電圧26.33V、電流3.93Aと表示され、103.4Wで充電されていることがわかります。これはどういうことでしょう?

一体何が起きているのか?
以下は私の推測です。
DCDCコンバーター
以前の記事でご紹介しましたが、私がすでにハイエースに取り付けて使っているスイッチング電源は100Vコンセントを繋げば有無を言わさず36V、70Wの電流が流れます。わたしはこのDCDCコンバーターもこれと同様、きちんと設定をした上でDC12Vを供給すれば、有無を言わさずDC36Vの電流が供給されるものと思い込んでいました。
しかし、実際にはつないだ先(この場合はチャージコントローラー)が、DCDCコンバーターで設定した電圧(この場合は36V)よりも低い電圧の電流をどんどん受け入れてしまうような装置であった場合は設定電圧より低い電圧で能力いっぱいとなってしまい、そこから更に電圧を上げる余力がないものと思われます。(もしくは、これを直接つないでバッテリーを充電することを想定し、あえてこのような回路に設計しているのかもしれません。)
チャージコントローラー
通常であればチャージコントローラーにはソーラーパネルが電力を供給します。そして、ソーラーパネルは既定よりも低い電圧でたくさんの電流を送り込む、といった動作はしません。電圧が低いということは日光も十分当たっていないわけで、流れる電流もごくわずか。(もしくはゼロ)
ところが今回のテストでは、DCDCコンバーターから26V前後の低電圧で4A程度の大きな電流が流れ込みました。チャージコントローラーとしては、本来来るはずのないこのような低電圧の電流に対しては何もする必要はないわけです。よって遮断されることもなくそのままチャージコントローラーを素通りしてバッテリーに流れ込み、バッテリーを充電することになりました。(たぶん)
対策
このまま使用してバッテリーを充電しても良さそうですが、この電流のおかげで万が一チャージコントローラーが破損しても困るので、チャージコントローラーをすっ飛ばしてDCDCコンバーターとバッテリーを直結して充電できるような回路を考えたいと思います。(下図のようなイメージです)

補足
このDCDCコンバーターは、作動中はかなり発熱します。(手で触っていられないくらい)そこで、タッパーに格納しても火事にならないよう、シリコンを当てて熱を遮断しました。
タッパーの蓋にはシリコン製の鍋つかみを取り付けました。

タッパーの底には ダイソーで買った シリコン製のアク取りマットを取り付けました。

出来上がり
シリコンによる断熱のおかげでDCDCコンバーターを作動させてもタッパーが熱くなることはなくなりました。

そして、私の購入したものはほどなく冷却ファンが作動しなくなりました。これはUSBファンで別途対策の予定。
メーカーへも質問しましたが、要領を得ず
メーカーが開設しているブログに質問すると返事をくれるのですが、電圧が36Vにならないがどうすればよいかを尋ねたところ、入力が12.14V✕11.96V=145Wで、出力もほぼ145Wだから文句ないだろう?という回答でした。つまり、もっと電圧を上げたければ入力を増やせ、と言いたかったのだと思います。しかし、仮にもっと入力を増やしても、チャージコントローラーはそれをいくらでも素通りさせてしまうためやはり36Vには達しないと思われます。
上が私の質問、下がメーカーからの答えです。

まとめ
- Drok DCDCコンバーターでDC12VをDC36Vに昇圧してチャージコントローラー経由でサブバッテリーを充電しようとしたが、電圧不足で失敗。
- そこで、DCDCコンバーターを、チャージコントローラーを介さず、サブバッテリーに直結できるよう回路を変更する。
以上、読んでくださりありがとうございます。
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