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Terzoの冷蔵庫?
先日アマゾンのVineプログラムでTerzoの車載冷蔵庫を入手しましたので、こいつの性能についてレポートします。
商品は無料で入手しましたがこの記事はわたしが勝手に書いたもので、TerzoもしくはAmazonとのタイアップではありません。
この冷蔵庫、価格は約3万円なので私が愛用しているエンゲルと同等ですが、容量はエンゲル14リットルに対して倍の30リットルもあります。おまけに庫内の温度をデジタルで設定でき、庫内温度の表示も付いています。
価格の割にとても魅力的な製品ですが、エンゲル愛用者としては性能ではエンゲル並のわけがない(もしくはエンゲル並みであってほしくない)という複雑な思いをいだきつつ両者を比較してみることにしました。
こちらは私が愛用しているエンゲルの冷蔵庫です。
なお、ここに記載したテストは2019年10月上旬に実施しました。当時は残暑が厳しかったため、室温も27℃前後あり、冷却テストもそのあたりの温度から始まっています。
使い勝手
使い勝手は設計の新しいTerzoの圧勝です。
スイッチ
エンゲルの冷蔵庫(以降、エンゲル と呼びます)は、スイッチが本体の下の方に配置されているため操作性が良くありません。他のものと一緒にハイエースの床の上に並べてあったりすると、他のものを動かしてスイッチの周囲を空けてやらなくてはなりません。
ところが、Terzoはボタンも表示も本体上面に配置されているので操作性抜群。おまけに庫内温度の設定は、ディスプレイの表示をスイッチで上下させる方式なので直感的にわかりやすいです。
冷蔵室のサイズ
Terzoは容量が2倍だということは冒頭に書いたとおりですが、この冷蔵室は深さがあるため高さ31センチまでの2リットルペットボトルを立てて入れることが可能です。
ただ、私が好きなコーラの1.5リットルペットボトルはボトルが円形のため、6本しか並びません。
また、高さが31.2センチほどあるため、縦に入れると蓋が締まらなくなります。(たった2ミリなのですが)
これ以上蓋が締まらない
そこで、横にして入れると6本入ります。この状態で蓋も締まります。
エンゲルは、縦では全く無理。
横にすると、3本収納可能。
ということで、容量が倍のTerzoがエンゲルの倍の6本のコーラを収納できるという妥当な(というか、当たり前の)結果になりました。
あと2ミリの余裕があればTerzoは1.5リットルコーラを立てて入れることができますが、その場合でも収納できる本数は6本で変わりません。
冷蔵能力
水の入ったタッパーを2個入れて徐々に冷やす
冷蔵室のサイズが大きくても、冷えなければ意味がありません。
そこで、以前にエンゲルに対して行ったのと同様に、タッパー2個に約500ccずつの水を入れて冷却しながら温湿度データロガーで庫内の温度を測定しました。
Terzoは冷蔵室の隣に取説にも冷却されないと記載のある小物入れが付いているので、ついでにこの小物入れの温度も測定しました。
これ以降のテストは、全て以前の記事でご紹介した自作のACアダプターを使用しました。アマゾンの商品説明、及び取説には車両のシガーソケット以外では絶対に使わないように、という注意書きがありますが、今回テストした限りでは、消費電力を上回る能力を持った装置を使えば特に問題はなさそうです。(ちなみに、取説には消費電力46Wとありますが、電流値から計算すると最大で49Wでした。)
庫内右に①、左に②、小物入れに③のデータロガーを配置しました。
その結果がこちら。
結果
ここから言えることは、下記の通り。
- 1.庫内温度のばらつきは発生していない
- 2.小物入れは多少冷えるだけ(取説の記載通り)
- 3.冷蔵庫のディスプレイに表示される庫内温度に対し、実際の庫内温度に近いと思われるデータロガーの測定値は30分~60分程度遅れている
- 4.氷点下はともかく、0℃程度までは比較的早く冷える。(データロガーの測定値が0℃に達したのは12:05で、冷却開始から約100分後)
- 5.そのまま冷却すると、マイナス10℃程度までは冷える。
- 6.このあと冷蔵庫の電源を切ると、3時間程度は10℃以下をキープ。
総じて、なかなかの冷却性能を備えていることがわかりました。
3.項はどういう事かと言うと、冷蔵庫の設定を-10℃にしたとき、黄色の丸で示した冷蔵庫の温度表示は12:20頃には-10℃に達していますが、このときのデータロガーの記録はまだ0℃程度であり、実際に-10℃に達するのは温度設定を-25℃に変更した後の13:20頃と、1時間ほど遅れています。
従って、実際に使った場合に庫内の食品が設定温度に達するまでの所要時間がかなり長くなるのではないかと危惧されます。
水の入ったタッパーを2個入れてフルパワーで運転する
次は、Terzoとエンゲル、両者をフルパワーで運転して冷却スピードを比較することにしました。
エンゲル
前回同様、約500mlの水を入れた2個のタッパーを用意し、それぞれの上にデータロガーを載せました。また、データロガー③は冷蔵室の床の上に直接置いてあります。
蓋を締めてダイヤルをフルパワーにセット。
このときの温度変化はグラフのようになりました。グラフは、左端を冷却開始時刻にしてあります。
冷却中の電流値は、2.84Aでした。従って、電圧が12Vであるとすると、消費電力は2.84×12=約34W となります。表示がマイナスですが、これは電流が流れる向きを含めて表示しているためです。(このクランプメーターは直流電流も測定できるので、エンゲルに接続したシガーソケットに流れる電流を測定しています)
また、冷却後はタッパーの水が1/3くらい凍っていました。(冷却開始から約4時間20分後に取り出した状態)
Terzo
こちらもエンゲル同様に3個のデータロガーを写真のように配置します。
温度を-25℃(設定できる一番低い温度)に設定し、冷却しました。
このときの温度変化は下記グラフの通り。グラフは、左端を冷却開始時刻にしてあります。 一見したところ、エンゲルに負けない冷えっぷりです。
電流値は当初は3.3A程度でしたが、徐々に上がって4.07Aとなりました。(ただし、その後の経過を計っていないのでこのあとどう変わったかは把握していません)このときの消費電力は、約49Wです。エンゲルに比べると1.5倍くらい消費電力が大きいです。
こちらも、エンゲルと比べるとやや貧相ですが、氷ができました。(冷却開始から約4時間20分後の状況)
結果
エンゲルとTerzoのグラフを見ただけではどちらが勝っているのかがわかりませんので、フォトショップで2つのグラフを重ねてみました。すると、エンゲルを愛用する私としては認めたくない結果が・・・。
Terzoのグラフを赤に変えたところ、ご覧の通り。データロガー③で計った冷蔵室壁面の温度はエンゲルのほうが若干低いですが、データロガー①、②で計ったタッパー上の温度はいずれもほぼ全域に渡ってTerzo方が低い。うーむ、やるな、Terzo
冷却温度を0℃に設定してタッパー2個を冷やす
こうなったらもう一つやってみましょう。最初のテストでTerzoは、設定した温度に達するのにとても時間が掛かるのではないかと危惧される結果が出ました。そこで、エンゲル、Terzo、両者を日常的に一番使いそうな目標温度である0℃に設定し、どちらが早く冷えるかを比べることにしました。このテストはエンゲルが勝つ・・・はず。
エンゲル
エンゲルは、以前のテストでダイヤルを2にすると庫内がほぼ0℃になることがわかっています。そこで、これまで同様、約500ccの水を入れたタッパーを2個とデータロガー3個を入れました。
ダイヤルを2に設定。
すると、グラフは下記のようになりました。
Terzo
こちらも同様に温度を測定します。(実際にはTerzoを先にテストしていますが、前項に合わせてエンゲル→Terzoの順番で記載しています)
水の入ったタッパーとロガーを配置。(写真がボケてますね)
温度を0℃に設定。
グラフは下記のとおりです。エンゲルがなだらかに下がっているのに対し、こちらは制御のオンオフで温度が波打っています。
結果
これもいい勝負。グラフを重ねてみましょう。赤がTerzo、青がエンゲルです。
うーむ、どうもエンゲルの旗色が悪い。波打っている分、Terzoの方が時間がかかると思っていたのですが、見事に外れました。
冷却能力テスト結果
- 冷却能力はTerzoの方がやや上
- フル運転時の消費電力はTerzoがエンゲルの約1.5倍
まとめ
Terzoの冷蔵庫はエンゲルに負けていないことがわかった
つまり、
- 価格は同等
- 容量は倍
- 冷却能力はエンゲルよりやや上(ただし、容量が倍なので、容量あたりでは低いと思われる)
- 温度設定はデジタル入力でわかりやすく、スイッチの配置も使いやすい
- 24Vでもそのまま使える
ただし、
- 実際に容量いっぱいに食品を入れて車内で使った場合、エンゲルに比べて壁面の面積が約1.5倍となるため、外気温の影響を受けやすいと思われる。
- (取説には避けるように記載がありますが)40℃程度の車内でも冷却が可能なエンゲルに対し、Terzoがどこまで冷やせるかは実際に使ってみないとわからない。
- 耐久性が不明
ということで、実際に使ってみないとわからないこともありますが、十分試してみる価値ありと思います。従って、本当にお買い得か? という質問に対しては、 おそらくお買い得だろう、 という感じでしょうか。
以上、読んでくださりありがとうございます。
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