ハイエースソーラーパネルDIY 機器選定と施工・配線方法

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Overview: I installed solar panel with batteries to secure the electricity for emergency. In this article, I explain how to design and install solar system on HIACE VAN.

目次

ソーラーパネルを付けようと思った理由

車で旅行した場合、1つの場所に数日とどまるケースがあります。

1つは妻の実家に帰省した際の待避所として使う場合。また、一箇所にとどまってじっくり写真撮影を行いたい場合。そして、災害時の避難所代わりに使う場合。

特に燃料の入手が困難になる災害時を考えると、ソーラーパネルがあるとないとでは大違い。

例によってネットで情報を集めてハイエースにソーラーパネルを載せることにしました。

システムの仕様検討

車内で使いたい電気機器は?

 PC、電気ポット、USB扇風機、電気毛布、車載冷蔵庫、USB充電器など。PCは自作デスクトップを使いたいため、通常100W程度(起動時などは300W程度)、電気毛布は60W程度、ポットは500W程度、冷蔵庫は30W。

パネルの出力

出力をなるべく大きくしたいが、取り付けの手間を考えると1枚で済ませたい。よって、蓄電システム.comで販売されているパネルで出力最大の210Wを選択。

システム電圧

配線が細くて済む24V系を選択。(結果的には12V系の方が良かったかも)

バッテリー数

24V系なので、12Vバッテリーを2個、直列に繋ぐ。これをさらに並列にして4個とすれば容量的にも安心だが、まずは2個で使ってみて様子を見ることにする。

バッテリーの種類

まだまだリチウムイオンは高価なので、ティープサイクルバッテリーとする。

インバーター

電気ポットが使える最小容量ということで、700Wを選択。また、電気毛布を使うため、矩形波ではなく正弦波のものとする。(矩形波だと、電気毛布が使えない場合があるらしい)

チャージコントローラー

正確なところはよく分からないが、PMW方式に比べてMPPT方式の方が30%程度高効率らしいので、MPPT方式とする。

購入した部品、機器

ソーラーパネル

ソーラーパネル 210W 単結晶 AT-MA210S

チャージコントローラー

MPPTチャージコントローラー eSmart3-20A

インバーター

正弦波インバーター DENRYO SK700-124

ケーブル類

今回使用した一番太いケーブルはインバーターとバッテリーを繋ぐ8SQ(電線の断面積が8mm2)の電線です。これ以外にもパネルとチャージコントローラー間の電線が2SQです。

こういった太いケーブル、端子が高価なうえに、端子の圧着に他には使い道が少ない大きめの圧着ペンチが必要になるため、端子を圧着したケーブルを作ってくれる業者にお願いするのが手っ取り早いです。わたしは機器と一緒に蓄電システム.comにお願いしました。(ケーブルの単品販売もありますが、一部のケーブルは機器とセットでしか販売されていませんのでご注意下さい)

DC/DCコンバーター

直流24Vを直流12Vに変換する装置です。これは後で追加しました。当初はちゃーじコントローラーから取れると思っていたのですが、チャージコントローラーの「負荷端子」から取れるのはシステム電圧、すなわち24Vの電流のみ。従って、12Vで稼働する車載冷蔵庫を使うためにはこのDC/DCコンバーターが必要とわかり、追加しました。

これが追加になったため、システム電圧を24Vにして電線代を安く上げた分が飛んで行ってしまいました。

ブレーカー

チャージコントローラーの取説を読むと、

・バッテリーとチャージコントローラー間

・チャージコントローラーと負荷接続間

・太陽光パネルとチャージコントローラー間

に必ずブレーカーを入れるように記載があるのを見て、あとから追加で蓄電システム.comに発注しました。直流と交流はブレーカーが異なるため、必ず交流用を購入しなくてはなりません。

ルーフキャリア

パネルのサイズが808mm×1580mmなので、なるべく大きくて安い物を選びました。キャリアの重量は25kgです。

TERZO テルッツオ EA900H

配線図

正式に電気の勉強をしていないので正式な電気配線図ではありません。

ハイエース車載ソーラーシステム配線図
ハイエース車載ソーラーシステム配線図

チャージコントローラー e-Smart3-20A の取説抄訳

メーカーが配布している取説の抄訳です。ほんの抄訳ですので、必ず原本を合わせてご確認下さい。

ちなみに、メーカーサイトはこちらです。

以前、取説のpdfをどこかからダウンロードしたのですが、リンクが見つかりません。

チャージコントローラー取説抄訳
チャージコントローラー取説抄訳

機器の設置状況

パネルから車内への配線の引き込みルート

パネルからの配線をどうやって引き込もうかと色々調べました。穴を開ける度胸はないので、かなり太いこの配線がドアを開閉しても圧迫されないポイントを何とか見つけ出し、ダイソーの配線押さえで位置を決めました。

写真は少々わかりにくいですが、車両後部の左側です。

パネルの配線引き込みルート
パネルの配線引き込みルート

この位置ですと、扉を閉めてもケーブルが圧迫されることはありません。

この場所を見つけるのに苦労しました。(但し、これは200系4型の場合です。5型は変わっているかも)

パネルからのケーブルを社内に引き込むルート
パネルからのケーブルを車内に引き込むルート

ドアの内側で配線がずれてウェザーストリップに挟まると雨天時に車内に水が入ってきますので(というか、入ってきました)こちらもかっちり位置決め。

パネルからのケーブルを社内に引き込むルート
パネルからのケーブルを車内に引き込むルート

ケーブルをドアの下側まで引っ張り、上方向に立ち上げて室内に引き込みます。(これも、最初は横から引き込んで車内が水浸しになりました)

パネルからのケーブルを社内に引き込むルート
パネルからのケーブルを車内に引き込むルート

車内機器の取付、配置状況

チャージコントローラー、インバーター、DCDCコンバーターは(例によって)ダイソーで売っているラックの部品に縛り付けて取り付けました。

しかし、ラックがインバーターの重量を支えきれないため、仮の処置として発泡スチロールブロックを置いて支えています。

本当はざるをかぶせてカバーにしていたのですが、発泡スチロールブロックとがちあうので今は機器がむき出しです。

ハイエース車載ソーラーシステムの車載機器
ハイエース車載ソーラーシステムの車載機器

ルーフキャリアへのソーラーパネル固定方法

パネルを上から見ると、こんな感じです。

ハイエース車載ソーラーシステムソーラーパネル
ハイエース車載ソーラーシステムソーラーパネル

作業性を考えてパネルの位置は車の後方にしたのですが、他の荷物をキャリアに載せようと思っても、後方からは載せられなくなりました。パネルは前方の方が良かったのかも。

なお、キャリアとパネルを付けた状態での車高は大方のタイムズ駐車場が使える2.2m以下に納まっています。

また、パネル単体の重量が15kg、キャリアの重量が25kgなので、合わせて40kgになります。

このキャリアの梁の断面サイズは20mm×30mmなので、パネルの取り付けにはこの金具を使用しました。既製品が使えたので、安く上がりました。

ソーラーパネルを取り付けるのに使用した市販金具
ソーラーパネルを取り付けるのに使用した市販金具
ソーラーパネルを取り付けるのに使用した市販金具
ソーラーパネルを取り付けるのに使用した市販金具

金具をパネルに取り付けるためのネジを締めるため、屋根の中央部でパネルの下に手を突っ込まなくてはならず、脚立も購入。

はしご
はしご

ディープサイクルバッテリーの配置

バッテリーはベッドキットの床下に配置しています。

この重たいバッテリーを持ち上げて動かせるかと心配だったのですが、かっちりしたハンドルも付いているのでまあ何とかなりました。

ハイエース車載ソーラーシステムバッテリー
バッテリーはベッドキットの床下に収納

本当はバッテリー転倒防止のため、皿のようなもの(もしくは通気性を備えた穴あきのコンテナ)に収納したかったのですが、バッテリーの高さがベッドキットの床下25センチに対してギリギリだったので断念。代わりにダイソーで買った荷物を縛るための布ベルトで二個のバッテリーを縛り上げてあります。

ハイエース車載ソーラーシステム
バッテリーの結線状況

一部の配線は端子が付いていないので、バッテリーの端子に導線を巻き付けて無理矢理ネジを締めてあります。いずれちゃんと端子が付いたものに取り替えたいと考えています。

システム電圧は12V系か、24V系か?

わたしが購入した機器の場合、チャージコントローラー、ソーラーパネルは12Vでも24Vでも使えますが、インバーターは電圧毎に機種が異なるため、簡単には変更できません。従って、システム電圧は慎重に判断する必要があります。(なお、下記は今回わたしが購入した機器を使ってみての判断ですので、他では当てはまらない場合もあるかも知れません。)

12V系のメリット

12V直流電流をチャージコントローラーから直接取れるので、車載用製品を使うのにDCDCコンバーターが不要。

バッテリーは一般的な12Vが使用可能。

2018/05/25追記

アイソレーターを使った走行充電回路を追加する場合、ハイエースのバッテリー電圧は12Vですので、充電されるサブバッテリー回路の電圧も12Vでなくてはなりません。

(一般的にアイソレーターには昇圧機能はありませんので、アイソレーターから取った12Vの電流で24V系に繋いだパッテリーを充電しようとするとかなりややこしいことになります)

24V系のメリット

インバーターとバッテリー間、及び各バッテリー間の配線が安く済む。

 120Wの電力をインバーターから取りたい場合、(インバーターのロスを考えに入れなければ)

12V系は120/12=10A、24V系は120/24=5Aの電気が流れます。そして、電流値が大きくなるほど太い電線が必要になるので、価格もアップします。許容電流量は、1SQ(導線の断面積が1mm2)あたりおおよそ10Aといったところですので、電流が倍なら導線の断面積も倍必要になる計算です。

同じチャージコントローラーを大容量のソーラーパネルを使うことができる。

今回わたしが購入したeSmart3-20Aの場合ですと、電圧は12,24,36,48Vに対応しています。しかし、電流はどの電圧においても最大20A。同じ電流なら電圧が高いほど電力(W数)は大きくできるわけで、単純に計算すれば、

 12V系ですと 12×20=240W が最大であるところ、同じチャージコントローラーで、24V系回路なら 24×20=480W にも対応可能なので、24Vにしておけばわたしの場合なら210Wソーラーパネルをもう一枚追加することも可能ということです。(実際にはパネルの特性がまったく同じでなくてはいけないらしいので、同じ機種のパネルを入手する必要があります。そして、わたしの場合はそもそも屋根の上にパネルをもう一枚載せるスペースがありませんね。)

2018/11/29追記

バッテリーの増設が容易

サブバッテリーを2個搭載したい場合、24V系なら直列につなげば問題ありませんが、12V系の場合は使用するバッテリーの切替スイッチが必要で、手間がかかります。並列にすればよい、ということなのですが、バッテリー品質のばらつきで電流が均等に流れず、問題が起きることが多いようです。

購入した機器、部品の価格

下記表の通りです。

ハイエース車載ソーラーシステム使用機器価格
ハイエース車載ソーラーシステム使用機器価格
ハイエース車載ソーラーシステム使用機器価格
ハイエース車載ソーラーシステム使用機器価格

役に立ったサイト

役に立つ記事が多数掲載されており、また、適切に選定され、品質も担保された機器をセット販売してくれるので、これを買っておけば選定を誤って失敗、粗悪品を買って失敗、などという事態を回避できます。

配線の処理、取り付け方法について詳しく解説されています。

こちらも取り付け方法の詳細な解説が参考になります。作業の完成度が素晴らしい。

以上、読んでくださり、ありがとうございます。

関連記事

これ以降、改造を重ねていきました。下記の記事も是非御覧ください。

当初2個だったサブバッテリーを4個に増設するための計画を立てます

ところが、やってみたら色々と予想していなかったトラブルが発生して結構な手間がかかりました。

ソーラーパネルの取付、取り外しにとても手間がかかるので、取り付け方法を改善しました。

バッテリーの状況がわかるよう、電圧計を取り付けました。

チャージコントローラーを使った走行充電装置を取り付けました。

コンセントでサブバッテリーの充電ができるよう、外部電源装置を取り付けました

ソーラー充電と走行充電が同時にできるように改造しました。

ソーラーパネルを付けたハイエースの車検を受けました。

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